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Vol.454 生誕100年バート・ランカスター〜ミュージカルはないけれど
 1940年代にハリウッド映画俳優としてデビュー以来40年にわたって映画に出演し続けたバート・ランカスター(以下BL)が今年で生誕100年を迎えます。
 ニヤリと笑った時の白い歯が印象的なBLは空中アクロバットの花形として活躍したサーカス出身。昔のハリウッドで盛んに作られた海賊映画「真紅の盗賊」(1952)などで得意のアクロバットを活かしたアクションが素敵でした。
 BLは早くから制作会社をおこしてプロデューサー兼俳優としての道を作りました。それによって普通なら共演出来ない様な当時の大スターであるキャサリン・ヘプバーン、ゲイリー・クーパー、クラーク・ゲイブル、オードリー・ヘプバーンらを主役として迎え、いい役を与えながら自分が映画をさらうという頭の良さをみせました。
 同時期にプロデューサー兼俳優として活躍した友人のカーク・ダグラスや、バレリーナから転身したイギリス人女優デボラ・カーとの共演作品が多かったようです。先にあげたアクションものを別にすると何度も観ているのが「地上より永遠に」(1953)です。この作品でBLはアカデミー主演男優賞に初ノミネートされただけでなく、浜辺でのデボラ・カーとの情熱的なラブ・シーンは映画史に残る名場面となりました。この作品もかなり抑えた演技で周りとのバランスをとっているのが印象的で、ニューヨーク映画批評家協会賞主演男優賞を受賞しました。
 1960年代以降はヨーロッパ映画にまで出るようになり、芸術的、美術的な名作に多数主演しました。そんなBLにはミュージカル映画がありません。ただ1度だけ1950年代後半アカデミー賞授賞式で、カーク・ダグラスと二人でタキシード姿で歌い踊った事があります。確か「俺達はオスカーに縁がない」みたいな歌詞でした。後年授賞するものの何故か縁がない時代だったせいか、やたらリアルでおかしな場面でした。そうヘタな歌だったと記憶していますが、もう1度観てみたいシーンです。そしてBLのダンスは、ダンスを習っているすべての人に勇気を与えるでしょう。
 BLの映画作りに対する情熱は彼の子供たちに受け継がれ、次男のウィリアムは脚本家として大ヒット作「がんばれ!ベアーズ」(1976)を手掛け、次女のジョアンナは製作者としてベット・ミドラー主演の「殺したい女」(1987)などを手掛けました。

天野 俊哉




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