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Vol.427 水着の女王エスター・ウィリアムズ追悼
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1940年代から50年代にかけてMGMミュージカルで活躍したエスター・ウィリアムズ(以下EW)が亡くなりました。
彼女は水泳選手出身の泳ぐスターという特殊な位置付けの人で、MGMスタジオというバックグラウンドがあったからこそ伝説になれた方です。劇場で「ザッツ・エンタテインメント」が上映された時、EWの水中バレエシーンではそのセットの豪華さに観客が声をあげたほど。その日から40年近くの間にEWのほぼ全出演作品を観てきました。当初彼女の魅力をまったく理解できずにいましたが、1950年頃のインタビュー記事を読んだ時、「どうして自分が映画スターでいられるのか解らない」一番そう感じていたのがEW本人であることを知り、そんな事をづけづけ言ってしまう性格にびっくり。1994年の「ザッツ・エンタテインメント3」にはゲスト出演していましたが、そのメイキング映像を観て、おおらかな人柄がにじみ出ていて若い頃からスタッフやキャストから愛されていた事がよくわかりました。
近年、ハリウッド映画のハイレベルな音楽に注目が集まっていますが、EW映画の水中バレエシーンの演奏の素晴らしさはもっと前から絶賛されていました。劇場で接したいものです。
長身でガッチリしたスイマー体型、色気がなくてざっくばらんなEWゆえ台本選びと共に大変だったのが相手役の男優選びだったはず。私はEWには、ハンサムな人よりも、レッド・スケルトンの様なファニーな人が合っていたと思います。
ミュージカルであるからには歌と踊りも必要。でも、どちらも苦手なEWなので歌は早くから吹き替えていましたが、ダンスはそうもいかず、1949年「私を野球に連れてって」でのジーン・ケリーとの共演でついにデュエットに挑戦するはめに。それまでも、初めて踊る人達〜歌手のフランク・シナトラ、コメディアンのフィル・シルバース、バンドリーダーのトミー・ドーシーそれにマンガのネズミ等〜を根気強く指導してきたケリーですが、残念ながらこのデュエットはカットされてしまいました。最近になってそのカットシーンを観ましたが、それで良かったのだなあ、と思ってしまえる程度の出来ばえでした。
EWの数々の作品からお薦めしたいのは、先のレッド・スケルトンと共演した2本のミュージカルコメディ「世紀の女王」「水着の女王」です。
コラムを読まれて、どんな人だったのか興味を持たれた方は、YouTubeで名前を検索してご覧になって下さい。
ご冥福をお祈りいたします。
天野 俊哉
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