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OUR MASTER : 佐々木 隆子
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Vol.360 生誕100年ヴィクター・マチュア〜踊らされた元祖マッチョ俳優
 1940年〜50年代のハリウッド映画の大スターの一人で、「サムソンとデリラ」の怪力男サムソンが代表作のヴィクター・マチュア(以下VM)が、1月29日に生誕100年を迎えます。学生時代テレビの深夜劇場で、山のように彼の映画を観てきました。ジョン・フォード監督の名作「荒野の決闘」のドク・ホリデイ役、「叛逆者」などアクション映画での荒っぽい演技、「犯罪都市」などスパイ・サスペンスでの渋い演技、そして「エジプト人」など大きな体を生かしての史劇での演技など、強いアメリカ人を象徴するスターでした。
 そんなVMも、デビュー当時は20世紀フォックス映画の専属だったことから、ベティ・グレイブルや、リタ・ヘイワースら美人ミュージカル女優の相手役をさせられました。「Footlight Serenade」「Song of the Island」「My Gal Sal」などが有名ですが、現在残されているそれらのミュージカルにはVMの歌や踊りのシーンはありません。男っぽいVMが好きな私は当然だと思っていました。
 ところが数年前にWOWOWでTV放送された「20世紀フォックス映画幻の映像集」なる番組を観た私は、ものすごいショックを受けました。あのVMが大きな体をゆすって踊っていたからです。皆さんだってシルベスター・スタローンが背広を着て花束を持って笑顔でスクリーンに登場したら、ゾッとするでしょ?ちょうどそんな感じです。
 そのダンス・ナンバーの振付を担当しているのが名手ハーメス・パンなので、振りがうまくまとめてあるものの、そこから受ける印象は“Heavy”のひとこと。結局それらのシーンは編集段階でバッサリとカットされたとのこと。映画会社もVMのイメージに合わないと正しい判断をしたようです。面白いのは、それらのダンス・ナンバーの撮影中にカットがかかった後のVMの素の表情まで捉えてあることで、「やれやれ」という声が聞こえてくるようです。
 現代のマッチョ俳優であるスタローン、シュワルツネッガー、ウィルス、ヴァンダムら、VMの後輩たちはミュージカル映画に出演させられるという、ある意味アクション・シーンよりも危険な経験をしなくて良いのは幸せなことかも知れません。ただ、彼らのアクション映画のタイトルばかりが並ぶ出演映画のフィルモグラフィーには、VMのようなバラエティに富んだ華やかさが無いのは気の毒ですね。

天野 俊哉




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