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OUR MASTER : 佐々木 隆子
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Vol.354 放送ライブラリーに行ってきました 4
 久しぶりに横浜市中区にある放送ライブラリーに行ってきました。晩秋の日本大通りは黄色い絨毯を敷き詰めたかのようないちょうの落ち葉と、雲一つない青空と、建ち並ぶ歴史的建築物のモノトーンが相まって、ヨーロッパの街並みにような素敵な情景なんですが、辺り一面に落ちているぎんなんの実のニオイがけっこうキツかったです。なるべく踏まないように歩きましたが、それでも幾度となくグリッゴリッと実が潰れる感触が靴底から伝わってきました。

企画展示「市川森一・上映展示会 夢の軌跡」
 昨年の12月に逝去された脚本家市川森一氏の業績を偲んだ上映展示会が開催中です。市川さんはコメンテーターとしても頻繁にTV出演されていたので、脚本家に詳しくなくてもご存知の方も多いのではないでしょうか。会場には以前、同会場で開催された脚本展での市川さんのトークがエンドレスで流れていました。アメリカやイギリスなどの文化国と同様に日本でもTV局や制作会社で保存されているだろうと思っていた脚本が、消耗品として処分されていることを知って愕然としたこと。散逸・消失してゆく脚本・台本の収集を提言して「日本脚本アーカイブズ」設立運動の先頭に立たれたことなどが語られていました。他にも「神田では私の脚本がえらい高値で売られているんです。私は買いませんが」「大河ドラマを三本も書いたのに、いまだに『ブースカ』とか『ウルトラセブン』とか言われるのはうれしいんだか、うれしくないんだか」などと軽妙な語り口で聞かせてくれていました。ちなみに私が市川さんの名を知ったのは「傷だらけの天使」(1974年 日本テレビ/東宝)で、脚本の市川さんを始め、監督には恩地日出夫、深作欣二、神代辰巳、工藤栄一、音楽には井上堯之、大野克夫、衣裳に菊池武夫、出演に萩原健一、水谷豊、岸田今日子、岸田森と、錚々たる名前が並んでいます。しかもフィルム撮影ですから、これはもう映画です。そんな「傷だらけ〜」を始め、故郷の長崎を舞台に書かいて遺作となった「蝶々さん」(2011年 NHK)までの台本、市川さんの全作品の紹介、直筆原稿、著作本、愛用の品などが多数展示されており、映像ホールでは市川作品が日替わりで上映されています。2013年2月3日(日)まで開催中。入場は無料です。

公開セミナー「ラジオを楽しむ!」第1回「鉄になる日」
 東日本大震災以降“ラジオのチカラ”が見直されているそうで、「ラジオ番組だからこそできることやラジオの魅力などを伝えて、多くの皆様にラジオをより楽しんで頂くため」というのがセミナーの主旨だそうです。
 会場に入ると“Mr. Lonely”(エフエム東京「ジェット・ストリーム」)、“BITTERSWEET SAMBA”(ニッポン放送「オールナイトニッポン」)など、FMAM問わずラジオ番組のテーマ曲がBGMに流れていました。スタッフの方に質問したところ、放送ライブラリーの担当の方を紹介してくれました。今回に限らずセミナーのテーマごとに楽曲を集めて流しているそうです。こういうこだわりはとてもうれしいです。
 200席はほぼ満席。私と同じ道を歩いて来られた方が大勢いらっしゃったのでしょう、会場にはぎんなんの実のニオイが漂っており、ラジオドラマを傾聴できるかどうか、けっこう気になりました。
 今回取り上げられた作品「鉄になる日」(2011年 毎日放送)は小松左京の長編小説「日本アパッチ族」が原作で、鉄になった人間の身体が銃弾を弾き返す音や鉄を食べる音などの音作りが高く評価されて、数々の賞を受賞したラジオドラマ史上に残る名作とのことで期待が膨らみました。集中力を高めるために眼を閉じてスピーカーから流れる音に耳を澄ましていると、さっきまで気になっていたぎんなんのニオイが感じなくなりました。私の集中力も捨てたもんじゃないようです(単に換気で臭わなくなっただけかもしれませんが)。
 ラジオドラマはお酒を飲みながら、クルマを運転しながらのいわゆる“ながら聴き”はしたことはありますが、今回のように1時間身じろきせずに集中して聴いたことはないので頭がけっこう疲れました(正直に言うと、すみません、ちょっとウトウトしてしまいました)。
 休憩を挟んで後半は、大阪からいらした司会、構成・演出、音響効果、ミキサーの4人のみなさんによるトークで番組作りの苦労や音へのこだわりなどを聞かせてくれました。司会の石井彰さん曰く、一番の問題は若者のラジオ離れだそうで、若者が聴かなければスポンサーが付きにくい、スポンサーが付かなければ制作費もままならないようで、「オフレコですからツイッターにもフェイスブックにも絶対に書かないで」と石井さんがおっしゃっていたので書けませんが、構成・演出の島修一さんが教えてくれた制作費は驚きの低予算でした。石井さんの「それでも、なぜ作るんですか?」との問いに島さんが「う〜ん、好きだから、ですかねぇ、やっぱり」と答えられた辺りからトークが盛り上がってきて、みなさん大変だったことを楽しそうに話されていました。金勘定抜きにその仕事が好きだからやっていることがトークから伺えて、みなさんの笑顔が輝いていました。
 「ラジオドラマは、(情景を思い描いて)番組に参加できることが最大の醍醐味」と石井さんがおっしゃっていました。番組数が少ないのも事実ですが、たまにはエアチェックされてラジオドラマの醍醐味を味わってみてはいかがでしょう。

放送ライブラリー公式サイト http://www.bpcj.or.jp/

Y's取材班




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