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OUR MASTER : 佐々木 隆子
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Vol.316 タップでない話題B 原節子さんの映画をスクリーンで 5/3
 恵比寿ガーデンプレイス内にある東京都写真美術館ホールで、伝説の女優・原節子さんの映画「新しき土」を観てきました。1937年にドイツと日本の合作と言えば「国策映画」に行きつきます。製作された時には、そのような意図があったのでしょうが、今回はただ「美しい16歳の原さんをスクリーンで」という企画なので、深く考えずに楽しみました。製作の東和商事の代表が川喜多長政氏、日本側の監督が伊丹万作というお二人のつながりが後年、それぞれの二代目、川喜多和子さんと伊丹十三監督との結婚(のち離婚)につながったことも初めて知りました。
 さて映画ですが、「時間とお金をかけた、すごい映画」でした。画面は当然3Dではなくスタンダード、しかも白黒でCGはなし。円谷英二特撮監督のシーンが手作り感いっぱいで感動しました。ドイツの山岳映画監督アーノルド・ファンクは、西洋人が興味を持った当時の日本を山ほどフィルムに収めていて、75年前の風景が鮮やかに蘇ります。ただし、日独合作映画であるにもかかわらず、妙なシーンも多くて、例えば、原さん扮する令嬢は富士山の見える豪邸に住んでいるのですが、一歩庭園に出ると厳島神社が目の前に広がっている。庭にいる亀も、その数から言って個人の庭とは思えません。原さんが散歩する道には、これまたシカの群れがいて、えさを買って食べさせている。これって奈良ではないだろうか?その他、画面に映し出されているのが心斎橋や阪神電車のネオンなのに、BGMが「東京音頭」? さらに一番の見せ場である火山に上り詰めるシーンも、原さんが草履を履いた和服姿で軽々と登っていく一方、相手役の男優さんは訳あって途中で靴を脱いだので靴下一枚で熱さにとび跳ねながら原さんを追いかけていくという、あり得ないシチュエーション。まともに見ることができず、笑ってしまいました。
 あまりにぶっ飛んだ映画だったので、帰りにパンフレットを買ってしまいました。細かいデータや豊富なプロダクション・ノートなど、私の好きな内容満載で、¥1,050は安い! ちなみに観客は20名くらいで若い方はあまりいませんでした。他の方はこの映画をどう思われたのか、インタビューしてみたいものです。「新しき土」、原題は「Die Tochter des Samurai」(サムライの娘)、日本の女性はおとなしそうに見えても内面は火山のように燃えたぎっている、というくだりが印象的でした。

天野 俊哉




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