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OUR MASTER : 佐々木 隆子
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Vol.300 幻の「アカデミー・ダンス監督賞」のこと
 アカデミー賞の長い歴史の中で、たった3年で消えてしまったのが「ダンス・ディレクション」、そう「ダンス監督賞」です。ミュージカルがレヴュー・ミュージカルと呼ばれていた1930年代の、1935年から1937年までの命でした。

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<受賞者と作品>
 1935年 デイブ・グールド(2つの作品が対象)
 ・「シュバリエの巴里っ子」 “Straw Hat”Number

  フランスの歌手モーリス・シュバリエの、トレード・マークであるストローハットが巨大化。大勢のコーラスガールズが、そのハットを持って踊るファンタスティックなナンバー。
  宝塚歌劇団の演出家白井鐵造氏が、戦前このアイデアを絵で記録したノートを逸翁美術館で見たことがあります。

 ・「踊るブロードウエイ」
 “I've Got A Feeling You're Foolin”Number

  ニック・ロング・Jrというアクロバットが得意のダンサーに、コーラス・ガールズが絡みます。トリックを使って白いドレスが一瞬にして消えて黒いドレスになったりと、スピーディーなダンス・ナンバー。MGMのレヴュー・シーンとしては、軽く創られたものです。

 1936年 セイモア・フェリックス
 ・「巨星ジーグフェルド」
 “A Pretty Girl Is Like a Melody”Number

  「デコレーション・ケーキのシーン」で通じる有名なナンバーですが、MGMの金ぴか趣味の衣裳と装置のデモンストレーションであって、これがダンスと言えるのか疑問です。

 1937年 ハーメス・パン
 ・「踊る騎士」 “Fun House”Number

  3年目にしてやっと受賞のハーメス・パン。アカデミー賞の選考委員たちは、ディズニーランドのアトラクションのような、わかりやすいものがお好きのようです。遊園地に迷い込んだフレッド・アステアを中心とした楽しいナンバーです。

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 「ダンスの振付」と言うよりも「ダンス場面の演出」への評価だったのか?その評価の対象がはっきりしなかったことが、消滅した原因だったのではないでしょうか。
 皮肉なのは、こうしたレヴュー・ミュージカルの生みの親である、バズビー・バークレー作品がノミネートだけで終わっていること。全く見る目がないですね。また、1937年に受賞したハーメス・パンの作品だったら、アステア&ロジャースのデュエット(1935年ノミネート)や、アステアの“Bojangles”Number(1936年ノミネート)など、受賞レベルのものは既にあったのにと思いました。
 私が今でも「受賞作品」にまったく興味が無く、「ノミネート作品」でオスカー・レースを楽しむ理由はこんなところにあります。

写真
@〜B デイブ・グールド作品(1935)
C〜E セイモア・フェリックス作品(1936)
F〜H ハーメス・パン作品(1937)

天野 俊哉




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