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Vol.287 日本語をしゃべるフレッド・アステア
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フレッド・アステアは1933年に映画デビューして以来、25年間ミュージカルだけに主演したというすごい人です。その後、MGMがミュージカルを作らなくなってからは、俳優として渋い演技を見せました。グレゴリー・ペック、エヴァ・ガードナーと共演した「渚にて」(1959)、ジャック・レモン、キム・ノヴァクと共演した「悪名高き男」(1962)、そしてアカデミー助演男優賞にノミネートされた「タワーリング・インフェルノ」(1974)etc。アステアの映画は、ミュージカルからドラマまでそのほとんどがソフト化されているのですが、1本だけ忘れられているのが1961年のパラマウント映画「結婚泥棒」です。むかし、たった一度だけテレビで放送されたことがあります。
妻リリー・パルマーと離婚したプレイ・ボーイのアステアが、一人娘デビー・レイノルズの結婚式に出席するため20年ぶりに別れた妻と娘に会いにやってくるという、もうそれだけでワクワクしてしまうプロットです。映画のオープニングで、1961年当時のJAL機のタラップをさっそうと降りてきたアステアが、「あなたはとてもきれいなホステスですね。どうもありがとう、さようなら」と、なかなかうまい日本語でスチュワーデスを口説きます。残念ながらどうして日本なのか、その説明はありませんが。
当時62歳のダンディーなアステアに、別れた妻も一人娘もメロメロ。さっそうと女性をエスコートしてステップを踏むと、その場に居合わせた女性がうっとり。アステアは実にスマートに演じております。
アステアは、結婚詐欺師(「ジーグフェルド・フォリーズ」「ヨランダと盗賊」)とか、プレイボーイ(「スイング・ホテル」「ベル・オブ・ニューヨーク」)を演じても、決して嫌味にならないスターも珍しいですね。
DVD発売されたらご報告します。
天野 俊哉
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