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Vol.284 タップシューズを引っ張り出した男 〜ケン・ラッセル監督追悼〜
 1984年にトミー・チューンとツィギーの主演したブロードウエイ・ミュージカル「マイ・ワン・アンド・オンリー」が、坂本昌行さん主演の日本版で上演されるので、そのことを書くつもりでしたが、昨年11月にケン・ラッセル監督(以下K.R.)が亡くなっていたのを今頃知ったので、追悼コラムにします。
 このコラムを読んでいる多くの方は、「それ誰?」と思われるほどマイナーな方ですが、「タップが忘れ去られた時代に、タップを映画でみせた」のがK.R.です。1971年の映画「ボーイ・フレンド」でT.チューンとツィギーの2人を組ませ、山のようにタップを踏ませました。「あの頃は、タップ・シューズを持っているなんて、はずかしくて誰にも言えなかったんだ。タンスの奥にしまいこんでね。そんな時K.R.から電話が来たんだ」と、T.チューンは当時のことを回想しています。
 「ザッツ・エンターテイメント」でアメリカ中がノスタルジー・ブームになるのが1974年なので、残念ながら「ボーイ・フレンド」は早すぎたようです。ヒットはせず、人気モデルのツィギーが唯一の話題で、T.チューンは舞台に戻ってしまいます。
 1927年生まれのK.R.の作風は、例えばケネス・アンガーとか、デリー・ギリアム、ティム・バートンみたいな独特のもので、「ボーイ・フレンド」のようなミュージカルも、舞台裏のいやな部分を強調するので面白いことは面白いのですが、とてもハッピーにはなれません。古びた劇場のカーテンが、「スルスル」という音を立てて下りたりする細かい演出は味がありました。
 1977年にバレエのルドルフ・ヌレエフが主演した「ヴァレンチノ」も、劇場で観ましたが観客が混乱するような作品で、ヒットはしなかったようです。しかし、不思議なもので、現在はカルト作品として評価はあがっています。
 1990年代に突如、有楽町のスバル座で「ボーイ・フレンド完全版」をリバイバル上映すると知り楽しみにしておりましたが、あまりの不人気に1日1回限りの上映に切り替わってしまいました。ひどいですね。
 私がK.R.に関して書けるのは残念ながらここまでです。私の中でのK.R.は何かツイてない人生という印象なのですが、84歳まで元気でいたわけだし、何といっても作りたいものを作れたのは、すごい幸せだったのではないでしょうか。
 ご冥福をお祈りいたします。
 P.S.「マイ・ワン・アンド・オンリー」は、たぶんT.チューンがノスタルジックな意味でツィギーを招いて作ったミュージカルなのではないでしょうか。来日公演でデュエットする二人を観て私は、「ボーイ・フレンド」の二人がオーバー・ラップしました。先日久しぶりにCDをひっぱり出してきてずっと聞いていたのですが、めちゃくちゃ曲が良いので、これがどのくらい日本の楽団で再現出来るのかが勝負だと思いました。

写真
1〜3枚目 「ボーイ・フレンド」のトミー・チューン&ツィギー
4〜6枚目 「My One and Only」のトミー・チューン&ツィギー

天野 俊哉




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