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OUR MASTER : 佐々木 隆子
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Vol.276 気になる映画邦題
 このコラムのタイトルを読まれて「久しぶりに天野先生の“気になるシリーズ”が読める!」とよろこばれた方は申し訳ありません。他に気の利いたタイトルが思い付かなかったので勘弁してください。 タイトルといえば、最近の洋画タイトルは原題のままだったり直訳が多いようですが、昔は情緒豊かで気の利いた邦題がたくさんありました。例えば古くは、大西洋単独無着陸飛行を初めて成功させた飛行家チャールズ・リンドバーグの伝記映画「翼よ!あれが巴里の灯だ」(1957)。タイトルだけでその情景が浮かんでくる何とも素晴らしい邦題です。 原題は「The Spirit of St. Louis」。「セントルイスの魂」かと思いきや、リンドバーグの大スポンサーであるセントルイス商工会議所にちなんで命名された飛行機の名前「スピリットオブセントルイス号」のことで何の感慨もありません。ちなみにリンドバーグがパリの上空で「翼よ、あれがパリの灯だ!」と叫んだとされていますが本当はそんなことは言ってなくて、この邦題にちなんで後世の人が脚色したそうですから、如何にこのタイトルが素晴らしかったかがうかがえます。
 もう少し新しいところでは、映画ファンならずともご存知の方も多いと思われる「愛と青春の旅だち」(1982)も秀逸だと思います。海軍士官養成学校の飛行士課程に志願する若者が、海兵隊軍曹の鬼教官にしごかれながらも成長してゆく姿を描いた作品で、原題は「An Officer and a Gentleman」。単に「士官と紳士」と直訳になるのかどうか分かりませんが、いずれにしても邦題「愛と青春の旅だち」とは全く違います。 この邦題のすごいところは、青年が成長してゆく過程の1エピソードにすぎない恋愛ごとに焦点を合わせて、ラブロマンス映画として大ヒットさせてしまったところだと思います。もちろん“1エピソードにすぎない恋愛ごと”というのは私の主観で、ラブロマンスの部分がこの作品の本筋なのかもしれません。そう考えると「士官と紳士」の意味も違って見えてきます。 海軍士官学校の卒業生はいきなり将校(少尉)に任官されるので、昨日まで上官だった軍曹の鬼教官も卒業と同時に下士官になります(映画では鬼教官が卒業式後に直立不動で「ご卒業おめでとうございます、サー」と、上官になった彼に対して先に敬礼する印象的なシーンがあります)。海軍の将校はエリートですから上官の娘やいいところのお嬢さんとの結婚が半ば約束されているので、士官学校時代に付き合ってた町娘なんてさっさと捨ててしまうものなのですが、主人公の彼は町工場で働く彼女を迎えに行きます。とんちんかんな深読みかもしれませんが、そんなストーリーからすると原題の「An Officer and a Gentleman」には、「人の上に立つ者こそ、心優しくあれ」のような、鬼教官の“真に教えたかったこと”が隠されているような気がします。ちなみに鬼教官を演じたルイス・ゴセット・ジュニアはこの作品でアカデミー助演男優賞を受賞しています。
 さてここから本題に入るつもりだったのですが、思っていたよりも前置きが長くなってしまったので、この続きは次の機会とさせて頂きます。ご了承ください。

Y's取材班






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