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Vol.231 ファリー・グレンジャー追悼
 1940〜50年代、甘いマスクでハリウッド映画で人気のあったF.グレンジャーが、86歳で亡くなりました。若くして亡くなった、日本の赤木圭一郎にとても似ていました。ただ、残念なことに近年亡くなったトニー・カーティスのように成功したスターとは言えません。
 当時ハリウッドにはサミュエル・ゴ−ルドウィンという名プロデューサーがおり、彼と契約したことで有名になったスターに、エディー・キャンター、タニー・ケイ、ヴァージニア・メイヨ、デビート・ニーヴンなどがおり、F.グレンジャーもその一人でした。
 ところが、グレンジャーの場合、ゴールドウィンのもとで作られた作品に良いものがなく、私が記憶している作品は他の映画会社のものばかり。レスリー・キャロンと共演した「三つの恋の物語」はMGM映画、ジーン・クレインと共演した「人生模様」はFOX映画、そしてグレンジャーの代表作「見知らぬ乗客」はアルフレッド・ヒッチコックの映画etc。
 ただ、グレンジャーがすぐれた俳優であったなら、ゴールドウィンとの契約解除後もハリウッドで生き延びることができたはず。1950年代から今日までどのように生活していたのかが気になるところです。
 F.グレンジャーには2本のミュージカル映画があります。ひとつはゴールドウィン作品、ダニー・ケイ主演の名作「アンデルセン物語」(1952)。もうひとつはMGMでジェーン・パウエル、アン・ミラーと共演した「Small Town Girl」(1953)。どちらの作品もミュージカルとして楽しめるものなのに、たぶん歌も踊りも出来ないグレンジャーはとりあえず出演していたな、という程度でした。ご冥福をお祈りいたします。

天野 俊哉

写真 上から
「見知らぬ乗客」
「人生模様」
「アンデルセン物語」





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