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OUR MASTER : 佐々木 隆子
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Vol.2172 加藤忠さんの隠れ家ライブに潜入(そのA)
 タップダンサー仲間の加藤忠さんが神楽坂にある隠れ家ライブハウスのリアンでソロライブを行いました。実は今まで何度も何度も何度も加藤さんからソロライブのお誘いはあったのですが平日や土曜日の夜など仕事でうかがえず、加藤さんだけのタップダンスを拝見したのは初めてでした。

 加藤忠さんとは思えば物議を醸した『2003年のナショナル・タップ・デー』のリハーサル会場(江東区北砂)で初めて顔を合わせてから20年になるのですね。まだ若かった加藤さんはかなり尖っていて、タップを踏む姿はまさに《オレ様》な雰囲気でした。私は今でも相方の成川直人さんと踊るこの日の映像を良く見るのですがこのコンビを『ナショナル・タップ・デー』に引き入れた松本晋一さんの狙いが何となく分かったので陰ながら応援していました。
 やがて松本さん振付・演出の『2007年の東京リズム劇場』で共演するチャンスが訪れ、松本さん振付のバレエ・タップやフラ・タップのお稽古で私と同じ位アップアップしていた事から距離が縮まり親しくなりました。
 と言っても加藤邦保先生率いるJAM TAP CAMPANYの主力メンバーのお一人である加藤忠さんはプロフェッショナルなタップダンサーであり、私の最も尊敬するタップダンサーのひとりであります。

 神楽坂リアンでのライブは舞台等と比べて加藤さんが1番輝く種類のものでした。ミュージシャンの皆さんとの気さくな雰囲気が楽しくて全て加藤さんペースで進むのでした。
 クラシック音楽から始まりスタジオジブリの音楽、私の好きな”海の見える街”も出て来ました。加藤さんのステップは振付があるのか、アドリブなのか、おおざっぱに決めてあるものなのか分かりませんが私の様に既製のステップを組み合わせて創られたものではありません。ヴァイオリンやピアノの演奏に心地良く合わせる部分とちょっとずらして遊ぶ部分があるので思わずニヤッとしてしまうのです。日本でも人気の高かった歌手のドリス・デイのコーナーもあり、ソフトシューのテンポでの“ティー・フォー・トゥー”と映画『知りすぎていた男』と主題歌“ケ・セラ・セラ”を。こうした音楽に関して話してくださるとお客さんも何気に感情移入出来るのでありがたい。ヴァイオリニストの上野さん若いのにドリス・デイの事に詳しい!

 前半最後の曲はナット・キング・コールで知られる名曲“ラブ”。私が女性とジャズ・ダンスでデュエットした唯一の曲です。ここでこの日更なるサプライズ、それはカウンター席に座っておられた加藤さんのお弟子さんが“ラブ”に参加する!
 ところが女性のお弟子さんまだタップシューズを履いていない!ピアニストの方が加藤さん達に「ここ何小節延繰り返そう!」みたいな指示を出されて、タップシューズ待ちに。ライブならではのスリリングな展開に。シムシャム・ステップから最後はお弟子さんの中々味のあるソロで終わりました。加藤さんらしい手を抜かない指導の賜物、いつも頭が下がります。

※写真の掲載は承諾を得ています。

天野 俊哉



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