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Vol.2167 宝塚歌劇月組公演(2023年10月)
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私が東京宝塚劇場で観劇した10月下旬の時点で兵庫の宝塚大劇場はまだ休演したままです。大切なタカラジェンヌが亡くなってしまったのに決断力の無い歌劇団側の対応は相変わらずのスローペース、イライラするばかりです。東京宝塚劇場で幕を開けた今回の月組公演ではインフルエンザの為に休演する生徒が続出、それでも少しずつ復帰したりと安定してきたようです。
退団を発表した月城かなとさんと海乃美月さんの《プレさよなら公演》となってしまった今回の公演は
齋藤吉正/作・演出
ミュージカル『フリューゲル−君がくれた翼−』
栗田優香/作・演出
東京詞華集『万華鏡百景色』
の2本立て。
齋藤吉正氏の『フリューゲル』は時代がベルリンの壁が崩壊した1980年代後半の東ドイツ、宝塚にはかつて『国境のない地図』という同じような題材の作品があったので私にはいささか引っかかる作品でした。しかも親子が東西で生き別れ、という辺りも同じだし。ただ、見終わって嬉しく感じたのは久しぶりに宝塚らしいハートウォーミングな優しいミュージカルだったな、という部分と何よりトップコンビの月城さんと海乃さんが《恋人同士》の役柄だった事です。『今夜ロマンス劇場で』では手すら繋げなかったし、『グレート・ギャッビー』ではラスト冷たくされたし(デイジーがギャッビーの棺桶に花をポーンと放る!)、『応天の門』では男女の仲ですら無かった!こんなトップコンビ前代未聞です。今回はロマンチックなデート場面もあったのでこれで全て許せてしまいました。
さて、栗田優香氏初の大劇場作品『万華鏡百景色』は宝塚とOSKとSKDと日劇がミックスしてしまったような、NHKの朝ドラ『ブギウギ』人気を逆利用した様な作風と私はとらえました!
観劇する前に《歌劇》誌の演出家を交えた月組生の座談会を読んで予習でもしようか、とも思ったのですがショーやレヴューはただ眺めて感じる物があればそれで良し、と考え直し予習無しでゆくことに。
東京を舞台に江戸時代から令和までの様々な時代を背景にした展開がまず見事で、衣裳の奇抜さ豪華さに圧倒されました。海乃さんの花魁姿も宝塚らしい品のあるものでした。月城さんの最初の衣裳なんてびっくりする様なデザインでした。ストーリー仕立てになっていてつながっている部分も観客が拍手をし易いように暗転を入れるあたりは親切。
また普段はそれほど感心する事のないロケット(ラインダンス)の女の子たちが銀矯に並んだ時の表情やポーズの付け方に変化があり、栗田氏の演技指導が加わっているのかと思いました。昭和時代以降の何処かで聴いたことのある歌謡曲も、西城秀樹さんやサザンなど直ぐに彼らの曲とすぐ分かるような物で無く、あまりスタンダードで無い曲をさり気なく持ってくる辺りセンスの良さを感じました。知らないのは私だけかも知れませんが。
演出のせいか衣裳のせいか、はたまたトップのお二人の影響か分かりませんが月組全体が大人の雰囲気を醸し出していたような印象を受けました。栗田優香氏の大劇場デビュー作は今後を大いに期待させるものでした。
天野 俊哉
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