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Vol.2114 宝塚歌劇団の振付師〜羽山紀代美さん追悼
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宝塚歌劇団の娘役出身で、退団後に振付師に転向した草分け的存在の羽山紀代美さんが急死されました。
羽山さんは宝塚歌劇団の月刊誌『歌劇』の2023年1月号の《新年を迎えて》のコーナーでは普通に新年の挨拶をされてますし、新春の花組公演のお芝居『うたかたの恋』とショー『ENCHANTMENT』でもその両方で振付を担当されていたので本当に急な事だったのでしょう。
宝塚というのは女性だけで創り上げる幻想の世界、アニメの『サザエさん』が永遠に昭和から抜け出せない様に宝塚も永遠に夢と幻想の世界から抜け出せないのです。昭和から平成を経て令和まで来ると流石に新しい感覚になるもので、近年は演出よりもダンスの振付が一番変わってきたように感じます。それが一概に悪いと思いませんがレヴューの振付ですか?スーツの振付ですか?と突っ込みを入れたくなる事もしばしば。ただこれは1980年代から既に存在していた事で、例えば劇団四季を中心にカッコ良い振付で人気の高かった某氏でも、宝塚花組公演『フォーエバー!タカラヅカ』のクラシカルなナンバーでとんでもない振りを使ってヅカファンを幻滅させたりしてましたっけ。
羽山紀代美さんの振付は今日に至るまでヅカファンだけでなく、タカラジェンヌの皆さんからも「羽山先生の振付を!」とリクエストが多かったのです。絶対にハズすことがありませんでした。フィナーレの大階段を前に黒燕尾服を着た男役さんがズラーッと並んだナンバーで素晴らしい作品は必ず羽山紀代美振付作品。
大人の男役を演出出来る、無駄に動かさない、所作を大切にしている等、羽山振りの素晴らしさを取り上げたらきりがありません。
私の羽山紀代美振付作品のベスト・オブ・ベストは宝塚レヴュー最高の演出家、小原弘稔氏の『ザ・フラッシュ』(1991)です。当時のトップスター大浦みずきさんら花組全員のステッキ振りからスター達の銀矯渡り、ラストのラインダンスまで、小原氏の素晴らしい構成と羽山さんのスピーディーな振付によるオープニング。そしてフィナーレは小原氏自慢のカーテン前演出。真矢ミキさんのソロからカーテンが次々開いて大階段の朝香じゅんさんの歌を経て大浦みずきさんのダンスまで。今まで何百回見たか分からない位大好きな演出と振付です。
ますます宝塚歌劇から遠のいてしまいそうです。羽山紀代美さんのご冥福をお祈りいたします。
天野 俊哉
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