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Vol.2105 Y's取材班さんを追って〜トヨエツ演じるジキルとハイド
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筒井康隆氏原作の『男たちのかいた絵』を映画化、当時人気絶頂の豊川悦司(以下トヨエツ)さんが主演しました。この作品が製作された1996年頃に私はトヨエツさん主演の『愛してると言ってくれ』や『青い鳥』等のドラマを観てました。テレビでは幅広い世代向けの暖かくて愛されるハンサムキャラだったのに映画での彼って一体何なのでしょう?もうびっくりしてしまいました。
温厚な人柄と冷酷非情な二つの性格を持つ主人公という辺りはまさにジキルとハイドそのものですが、トヨエツさんの凄いところはメイクにも照明にも特撮(今ならCG)にも頼らず、瞬時に目などの表情だけで性格を変えて見せるところでした。映画は筒井氏の原作を丁寧に進行してるせいでテンポがゆっくりしており見終わったら見事に2時間をこえていました。まさに《トヨエツ劇場》でした。
このコラムを入稿したら、Y's管理者さんから「愛称で呼んでもらえるのはうれしいけど、表記だと『豊川悦司』も『トヨエツ』も4文字だから略さなくてもないんじゃないかな?(笑)」と豊川さんご本人がおっしゃっていたそうなんですが、ここではトヨエツで表記させていただきますね。
さて、そのトヨエツさんと敵対する暴力団の若頭に扮するのがバリバリ悪役時代のY's取材班さんであります。筒井作品の大ファンの取材班さんはこの作品への出演が決まり、しかも相手がトヨエツさんと知って感激したそうな。オープニングのタイトルバックにかなりの遠景で登場する取材班さんは黒ずくめの組員の中で唯一ド派手な原色ピンクのスーツを着用されています。画面手前を歩くトヨエツさんが目だたなくなる位の存在感です。
次に温厚な、つまりハイド氏状態のトヨエツさん(喧嘩なんか出来ない!)を待ち伏せ組員と共にボコボコにしてしまう乱暴な取材班さん。カメラはボコボコにされるトヨエツさんを狙っているので取材班さんはド派手な原色ピンクスーツの背中姿ばかりですが、とりあえず堂々のツーショットなのでヨシとしましょう。取材班さんによると、このシーンを撮影する前に「取材班さん、よろしくお願いします」とトヨエツさんの方から先に、しかも名前で呼ばれてあいさつされてとても驚いたそうです。さすがトヨエツさん、ボコられて手まで踏みつけられるのに腰の低いイイ人なんですね。
そして映画が半分をすぎた頃、颯爽と現れた取材班さんをはじめとする組員たちですが、ここでのトヨエツさんは冷酷非情なジキル状態(人を殺したくてうずうず?)なのです。よって組員たちは簡単にのされてしまい、ひとり残されてしまった我らが取材班さんはもうボコボコを数段上回る超絶ボコボコにされてしまい、多分お殺されてしまったに違いありません。悲しい最期であります。
フィルム撮影時代の夜の場面ゆえ上手く写真に残せなかったのがより残念ですが。
このシーンは、ポールに仕込んであったスポンジで血糊を顔に塗った時に、見物していたチャリンコのオッサンが映り込んでしまったせいで結局撮り直しになってしまい、取材班さんは2回お殺されあそばれたそうです。合掌。お疲れ様でした。
映画はトヨエツさん以下、内藤剛志さん、安岡力也さん、哀川翔さん、白竜さんら実力派俳優さんがズラリ顔を揃えております。作者の筒井康隆氏が中々の役者ぶりを見せたり楽しめるのですが、クラブの専属演歌歌手を演じる高橋惠子さんが歌を吹き替えているのがあまりにトホホすぎでした。
《プロデューサー》としてクレジットされている桃井かおりさんはあの女優の方と同一人物なのでしょうか?
取材班さんは桃井さんにはお会いできなかったそうですが、『北の国から'84夏』の「子供がまだ食ってる途中でしょうが!」と五郎さんが怒鳴るあの有名なシーンでラーメン屋の店員役を演じられた伊佐山ひろ子さんとお会いできてうれしかったそうです。良かったですね。
天野 俊哉
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