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OUR MASTER : 佐々木 隆子
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Vol.210 ブラウン管で大活躍したあの方のこと
 テレビ・コマーシャルの歴史をまとめたDVD「ACC50周年/もう一度観たいCM」が発売されました。人によってそれぞれの作品に思い入れがあると思いますが、必ず上位に来るのがサントリーの「ながーく愛して」のキャッチコピーが魅力のあのCM。監督は市川崑。主演は、そう昨年亡くなった大原麗子さんです。長らく「好感度No.1」女優と言われ、その愛らしい演技はとても人気がありました。
 私は大学時代、アルバイトでTV局の大道具、小道具の仕事をしており、大原さんのドラマにも3回ほど付きました。大女優だったのに私たちはなぜか「大原さん」と呼ばず、「麗子さん」と呼んでいました。麗子さんは自分に対しても他人に対しても厳しい人だったので、共演者たちと楽しく語り合っている姿を見たことはなく、いつもひとりでいるか、そばにいる付き人の女性に厳しい注意を与えていました。
 若くて生意気だった私は、この麗子さんと「消えもの」と呼ばれるビーフシチューをめぐって収録中に大喧嘩をしたことがあります。単なるアルバイトでしかない私は、クビになってもいいや、と思っていましたが、不思議とそのまま仕事は続いていました。収録がひと段落して休憩時間になると、共演の藤竜也氏、村井国夫氏、岩城滉一氏、泉谷しげる氏ら、そうそうたる顔触れがスーっと彼女のそばから離れて行ってしまうのを、いつからか気の毒に思うようになりました。
 そんなある日、麗子さんの寝室のセットでベッドメイキング(私にとってはその時初めての経験でした!)をのろのろやっていると、いつものように麗子さんが視察にやってきました。私の仕事ぶりにあきれたのか、何も言わずに手伝いだしてくれたのにはびっくり。特に会話はなかったけれど、ちょっとした気遣いを嬉しく思ってちらっと見ると、鼻歌を歌いながら手際よくベッドメイクをしているその横顔は、TVで見る、あの「愛らしい麗子さん」そのものでした。
 麗子さんが亡くなった時、マスコミは酒井法子事件一色だったので、TVでも雑誌でも、孤独だった晩年の麗子さんはほとんど取り上げられませんでした。
 私はなぜかそのことにほっとしたものです。

天野 俊哉

写真 上から
私がスタッフで付いた「擬装結婚」(1983年 TBS)
麗子さん
藤竜也と麗子さん
テレビ局シーンから。センターにモップを持った白い服装の私が





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