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Vol.2096 宝塚歌劇月組公演(2023年4月)
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今年初めての宝塚歌劇月組公演を観に東京宝塚劇場に行きました。
25度をこえる夏日、さらに中国からは黄砂が飛来するという慌ただしい春の日。
少し早めに家を出て宝塚劇場の近所にある宝塚や劇団四季等ミュージカル専門店の宝塚アンに寄りましたが、古い『歌劇』(宝塚の月刊誌)に6000円なんてバカみたいな値段が付いているので呆れてしまいました。この店大丈夫なのかな?
さて、宝塚劇場ではまだ観客全員にマスク着用を貫いており感染対策はバッチリであります。
ここのところ6月の舞台、9月の発表会、10月のチャリティ公演の事が頭から離れず、せっかくの宝塚の演目の予習をしてきませんでした。タイトルだけは前日に頭には入れましたが演出家が誰なのかすら知らないとは!失礼な客ですね、ものすごく反省。
平安朝クライム 『応天の門』〜若き日の菅原道真の事〜
さて今回、月城かなとさんがチャレンジするのは何と学問の神様、菅原道真さま。受験生の頃に湯島天神や亀戸天神でおめにかかっている方ですね。原作コミックの舞台化というのがユニークですが、月城さんと海乃美月さんの主演トップコンビに愛が生まれないのでヅカファンの受けは今ひとつの様で。逆にお色気担当の在原業平さまを鳳月杏さんが艶っぽく演じて笑わせてくれます。若手の風間柚乃さんが迫力のあるセリフで悪役を演じきるのが見事でした。東京での春公演を見越してオープニングにわざとらしくド派手なチョンパを持ってくれば全体が華やいだのでは、とは思いましたが演出の田渕大輔氏はまだ若いので予算が使えなかったのかも知れませんね。
ラテングルーヴ 『Deep Sea』〜海神たちのカルナバル〜
宝塚愛の強さを感じさせてくれるショー作家の稲葉太地氏、海の底で繰り広げられるラテンのショー?
実はこの公演の前にテレビ東京で『ザ・グリード』という人間が深海の巨大な海獣と闘う凄い映画を見たばかりでしたのでショーの最初に長く映される深海の映像にはビビってしまいました。
私が知っている月組のスターはわずかなものなのに演出の上手さか?振付の上手さか分かりませんが大きな不満はありませんでした。ジャンケンに負けたダンディな月城さんが膝から崩れ落ち地面を叩く3枚目ぶりに腹を抱えて笑いました。ダンスでは赤の衣裳を着た若手ばかり16名のガチのナンバーが圧倒的でした。フィナーレの“ベサメ・ムーチョ”“シボネー”辺りになると深海というより既に地上、“黒い瞳”は完璧なタンゴの世界、海神よ何処へ?ショーはあくまでイメージの世界ですから見たままを素直に受け入れればそれでOKですね。
今回意外に気になったのが衣裳でした。バリバリのヅカファンならお見通しかも知れませんが、20年くらい前のショーに登場したラテンの衣裳、ボディコンの衣裳、花組の『アジアン・サンライズ』の時のサテンのカラーシャツを始め、あちらこちらに作り直した様な衣裳があったような?先のお芝居担当の田渕氏と同じくショーの稲葉氏も限られた予算内で創らされたのでしょう。それでも“黒い瞳”で海乃美月さんが着ていたシルバーのストーンを全身に散りばめた黒のワンピースが素晴らしかった!スタイル抜群の月城さんと海乃さんにはシンプルなラインの衣裳が一番お似合いになるような気がしました。
今回の公演を最後に上級生を含めた7名もの方が退団してしまう月組、何故なんでしょう?達者なメンバーで説得力のあるお芝居をこなし、スター不足をほとんど感じさせないショーには感心しましたが今後はかなり心配であります。今回退団する君島十和子さんのお嬢さん(写真/蘭世惠翔さん)も初めてその姿を拝見しましたがもったいないのひと言。理由は分かりませんが宝塚って、やっぱり大変な世界なんでしょうね。
天野 俊哉
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