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OUR MASTER : 佐々木 隆子
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Vol.201 実はミュージカルに出演したかったエリザベス・テイラー
 デビー・レイノルズと同じようにMGMの若手女優だったエリザベス・テイラー(以下リズ)は大のミュージカルファンでした。デビーやジェーン・パウエルとともにMGMのダンス・スクールでバレエやタップを習ったものの、企画されるのはドラマチックな映画ばかり。
 「Cynthia」や「スイングの少女」など、1曲くらいを歌わせてもらえるミュージカルもたまにはありましたが…。1940年代から50年代の映画は2本立て興業だったので、軽いB級作品が数多く作られました。今年、松本晋一さんがアメリカからたくさんのDVDを送ってくれた中に、「Love is Better Than Ever」という1951年のMGM映画があります。これは白黒のB級作品ですが監督はスタンリー・ドーネンなので、何かあるぞと思って期待に胸を膨らませました。案の定、リズはタップ教室の先生役で、たくさんの子どもたちに指導するシーン、そして最後にはタップ教室の発表会で、白いドレスで子どもたちとタップを踏みます。
 最初は“アマリリス”の曲で、「蹴って、引いて、置いて」のステップから始まり、もう少し大きい子たちとはシムシャムを踏みます。とてもわかりやすい構成。舞台の上の子どもたちは、踊っている間にも、客席に手を振ったり、鼻をほじったり、隣の子と喧嘩したり。さらに、値札のぶら下がった衣裳を着ている子どもや、ひざに傷テープを貼ったままの子どもがいたりと、演出もきめ細やか(?)です。アメリカ映画で最も自然体のタップ・ナンバーを観た気がしました。ただ、主役のリズは、どこからどう見てもタップの先生には見えませんでした。子どもたちの間に入っているにもかかわらず、違和感は最後までぬぐい切れず、あらためてホームドラマとかミュージカルには向かない女優さんなんだなと思いました。彼女のミュージカル次回作は、何と23年後の「ザッツ・エンターテイメント」(1974)になってしまいました。

天野 俊哉

写真 上から
物語と関係なく突如現れるジーン・ケリー
幼児クラスのリズ
小学生クラスのリズ
発表会でのリズ
踊れていない子どもたち
やはり浮いている












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