|
|
| | |
|
|
|
|
| | |
|
Vol.2006 もうすぐ生誕100年ドナルド・オコナー(その6)〜1940年代
|
|
第2次世界大戦から帰還したドナルド・オコナーは再びユニヴァーサル映画と契約しました。戦後、ユニヴァーサル・インターナショナル映画として活動していたこの会社のミュージカル映画製作は既に激減していました。
『サムシング・イン・ザ・ウインド』
オペレッタ歌手で人気の高かったディアナ・ダービンもこの1940年代後半既に落ち目でした。そこでドナルドさんと組ませて人気を挽回させようと製作されました。オープニングから素足でジャズを歌わされるディアナが気の毒!元々クラシカルな人がそんな簡単にイメージ・チェンジ出来ないのに。そんな中当時まだ22歳のドナルドさんが作品を救っています。1人で探偵から悪党までを器用に演じる“アイ・ラブ・ア・ミステリー”は多分ドナルドさん自身の振付。スピーディーで楽しい動きの多くが後年『雨に唄えば』の“メイク・エム・ラーフ”に活用されているから最高です。ユージン・ローリング振付のプロダクション・ナンバーは女性達の真面目なバレエにタイツ姿のドナルドさんがまぎれてしまうそれ以前のコミカル・ナンバーと同じでやや飽きてしまいます。
『アー・ユー・ウィズ・イット?』
会社勤めのドナルドさんがカーニバルの世界に目覚めてしまう、というストーリー。アステアと『ブルースカイ』で共演したオルガ・サン・ファンとアクが強くて踊りも上手いリュー・パーカーの存在が頼もしいです。映画の最初の方で居酒屋に連れてこられたドナルドさんがお店でタップを踏みはじめる流れが素敵で、リュー・パーカーや振付師ルイ・ダプロンとの絡みも自然です。ひたすら二枚目のドナルドさんのダンスがカッコいい!白の燕尾服を着たドナルドさんとリュー・パーカーにオルガが絡むショー場面の振付もスマートです。アラビアのショー場面とお城のプロダクション・ナンバーはやや間延びしていて残念。白黒でなくテクニカラーの画面だったらキレイに仕上がっていたに違いないので残念。
『フュードゥン・ファズン・アンド・ア・ファイティン』
ドナルドさんとMGM映画のおばさまスター、マージョリー・メインを組ませて西部劇の世界に乗り込んだコメディ。荒くれ西部野郎の中に背広を着たセールスマンのドナルドさんがやって来たら面白いに決まってる!ルイ・ダプロン振付のタップダンス・ナンバーは2つ。納屋で干し草、ほうき、階段等を相手に暴れて最後は自分の分身と張り合う“ミー・アンド・マイ・シャドウ”。構成が良いのとおふざけがなくアクロバットが決まる。もう一つは背の高いペニー・エドワーズとの歌とタップのデュエット。コメディの世界だとドナルドさんの無茶な部分もさほど目立たなくてスムーズに受け入れてしまえます。
『カーテン・コール・アット・カクタス・クリーク』
テクニカラー版の西部劇コメディ。ヒロインは歌手のゲイル・ストーム、助演陣に名優ウォルター・ブレナン、ヴィンセント・プライス、イヴ・アーデンという豪華さ。ルイ・ダプロン振付のナンバーは、私達にも馴染みのある“バック・ダンス”の曲でドナルドさんがタップのルーティンを踏んでみせる場面と舞台でドナルドさんとゲイル・ストームが歌いこちらも縁のある“ノラ”で踏むソフト・シューズのタップダンスの軽いデュエットが楽しい。ただし今回はダンス以上に劇団員のドナルドさんが開演アナウンス、楽団指揮、ピアニスト、緞帳開閉、照明、花を降らし、道具のセッティング、雪を降らし、効果音を鳴らし、ヴァイオリンを演奏し、さらには主役の衣裳早替えまでを全て1人でこなしてしまう場面が傑作。
天野 俊哉
|
|
|
|
|
|
| | |
|
|
|