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Vol.1991 カールトン・カーペンター追悼〜成功出来なかったスター
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書店で買えるコズミック出版の映画DVD BOXシリーズ《一度は観たい!名作映画コレクション》のひとつにジュディ・ガーランドとジーン・ケリー主演のMGMミュージカル『サマー・ストック』(1950)が登場しました。日本劇場未公開作品です。もしかしたら日本語字幕スーパーで観るのが初めてかも知れないので他の作品は後回しにしました。農家に暮らすジュディのもとにジーンらミュージカルの劇団員が沢山押しかけ、最後はその農家で新作ミュージカルを上演してしまう、というかなり荒唐無稽な内容のミュージカル映画。
MGMミュージカルの女王ジュディのMGMでの最後の作品、当時既に落ち目だったグロリア・デ・ヘヴン、エディ・ブラッケン、フィル・シルヴァースらが脇を固める。ジーン・ケリーだけが上り坂の大スターという実に不思議なキャスティング。踊る団員の中にキャロル・へニーやジーン・コインの顔が見えるのが嬉しい。そして長身のカールトン・カーペンターがジーンのアシスタント役で目立つ役を演じています。夜の食堂でジーンがダイナミックなタップを見せるナンバー“ディッグ”ではアンサンブル・ダンサーとして絡んでいます。他のナンバーやお稽古場面では団員でありながらほとんど歌い踊らないカールトン君。
さて私が『サマー・ストック』をDVDで観た翌日(6/16)『花嫁の父』がテレビ放映されました。1950年にMGMで製作されたスペンサー・トレーシーとエリザベス・テイラー主演の名作コメディ。エリザベスを巡る男性グループのひとりとして登場するのがカールトン君、字幕に名前すら出ないチョイ役でしたけど中々キュートで笑えました。松本晋一さんにカールトン君の事を伝えると彼も『花嫁の父』を観ていたそうです。
嬉しいじゃないですかぁ。
しかしその後直ぐに松本さんから「今年の1月に95歳で亡くなったそうです」と連絡を頂きました。自分の父親世代だったんだなあとさみしくなりました。
カールトン・カーペンターは松本さんや私のいわゆる『ザッツ・エンタテインメント』世代にとっては何と言っても“アバ・ダバ・ハニムーン”というミュージカル・ナンバーです。ジェーン・パウエル主演のミュージカル『愛の二週間』(1950)の中でカールトン君がデビー・レイノルズと家庭用パーティーで歌い、軽くタップダンスを踊る素敵なナンバー。発売当時のアメリカではものすごくヒットしました。1974年発売の『ザッツ』のサントラ盤レコードに収録された“アバ・ダバ・ハニムーン”ではほんの少しだけお二人のタップの音を聴くことが出来ます。1982年赤坂の草月ホールで開催された寺嶋清先生のタップダンス・スタジオの発表会では若い男女ペアがこのデビーとカールトン君の曲でステップを踏んでいました。後年『愛の二週間』のビデオを買って初めてオリジナル・ノーカット版の“アバ・ダバ・ハニムーン”を観た時、デビー&カールトン君よりも寺嶋先生のお弟子さん達の方が良い雰囲気だったのでびっくりしてしまいました。意外と恋人同士だったのかも知れませんね。『愛の二週間』にはさらに“ロウ・ロウ・ロウ”というヴォードビル・スタイルのナンバーがあって再びデビーとカールトン君がデュエットしますが、ガチにタップダンスなので大いに楽しめます。
1950年にはもう一つ、フレッド・アステア主演の伝記映画『土曜は貴方に』でも歌うデビーの恋人役で登場するのがカールトン君。二人の身長差を上手く使った演出が楽しめます。
さて歌って踊れるカールトン君がこの後ミュージカル映画で全く活躍するチャンスが無かったのはMGM映画での俳優達の大幅人員整理もありますが、必要以上に背が高かった(191cm)からではないでしょうか?まず、1950年代のMGMミュージカル映画で活躍したデビーやジェーン・パウエルら主演女優の皆さんが小柄だった事(デビー155cm、ジェーン151cm。ちなみに淺野康子さん152cm)、並んだ時あまりにもアンバランス過ぎて画面に収まりにくいなど評判が悪かったのでは?と思います。デビーやジェーンにはボブ・フォッシやボビー・ヴァンのようなもう少し中背のダンス・パートナーが用意されました。
現在You Tubeではカールトン君のミュージカル・ナンバーのほとんどを観ることが出来ますし、軽いバイオグラフィーや晩年のデビー・レイノルズとペアでインタビューに答える楽しい映像も見つかりました!
遅くなりましたがMGMミュージカルで成功出来なかったスター、カールトン・カーペンターのご冥福をお祈りいたします。
天野 俊哉
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