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Vol.198 気になるDVD「ハリウッド玉手箱」(1944)
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ワーナー・ブラザーズという映画会社が、1944年当時契約していた同社の映画スター、ベティ・デイビス、ジョーン・クロフォード、バーバラ・スタンウィック、ジェーン・ワイマンetcをずらり出演させて作った、オール・スター・キャスト・ミュージカルです。
オール・スターといっても、65年も前のスターを判別するのはとても大変なことです。主演格のベティ・デイビスを別にすれば、特に紹介もなくあっさりと登場します。たとえば「カサブランカ」でイングリット・バーグマンの旦那様役だったボール・ヘンリードにしても、セリフの中で「ポール」とか「ヘンリードさん」として何となく片づけられています。1945年のワーナー映画「ミルドレット・ピアーズ」でオスカーを受賞したJ.クロフォードあたりだと、かなり魅力的な登場をするのですが…
ワーナーにはこれより先に「サンク・ユア・ラッキー・スター」(1943)という同じようなオールスター・キャスト・ミュージカルがあって、そちらの方が「大スターが歌って踊る」かくし芸大会のような意外性がありました。
さて、ミュージカル・ナンバーに目を向けると、兵隊たちを迎えるクラブを舞台にしているので、演じられるのがそのクラブのステージやフロアーに限られています。歌って踊るスターたちも衣裳代節約のためか、ほとんどスーツかワンピースという普段着姿です。ジミー・ドーシー・オーケストラのスイング・ジャズ演奏も、カメラ・アングルが平凡で効果的とは言えません。一方、アンドリュース・シスターズなど、今となっては貴重なナンバーもあります。私がお薦めするのは、次の3場面です。
“Don’t Fence Me In”
“歌うカウボーイ”として、アメリカでは伝説的な存在のロイ・ロジャース。しかし、日本では主演作がまったく公開されませんでした。彼と愛馬トリガーによる心地よいパフォーマンスの場面です。曲はコール・ポーターの新曲でした。
“Violinists Corner”
クラシックのヴァイオリニスト、ヨセフ・シゲッティの名演奏のあと、もう一人のヴァイオリニストが登場。それが、アメリカでは超人気のコメディアン、ジャック・ベニー。なぜか私はこのシーンが好きで、好きで…
“Ballet in Jive”
主人公の一人がワーナーのスタジオにやってきます。すると、振付師ルロイ・プリンツがダンス・ナンバーの撮影方法を解説。その後、ブロードウェイの舞台「オクラホマ」のスターだったジョーン・マクラケンのダンス・ナンバーへとつながります。この映画では、唯一セットや衣裳などにお金がかけられている場面です。その振付が良いかどうかは別にして、ダンス・ナンバーへの持って行き方は好きです。
「ハリウッド玉手箱」は11月27日ジュネス企画より発売されます。
天野 俊哉
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