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OUR MASTER : 佐々木 隆子
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Vol.1973 松本晋一さんのお母様の追悼公演(2022/5/3)
 昨年1月29日に亡くなられたタップダンサー松本晋一さんのお母様、印南明美さんの追悼公演にうかがいました。浅草フランス座演芸劇場・東洋館にて5月3日に開催されたのですが、この日は松本さんのお父様、昭和の大芸人である早野凡平さんの三十三回忌に当たる日でした。

 松本さんと知り合って25年以上になり、松本さんのお母様とも生前何度もお目にかかっているのに今の今までそのお母様が舞踊家であり、タップダンスまで踊ってしまう方だったなんて!全く知りませんでした!
 我ながら情けないっす。
 松本さんがハンドクラップ公演に出演される時にいつも綺麗な和服姿で観に来られていたのが印象的でした。
 松本さんには弟さんと妹さんがいらっしゃるのですが、妹さんは今回の追悼公演の構成と映像の編集を担当するだけでなく踊りも披露されました。
 ちなみに前説で登場された太田プロのお笑い芸人《しらすのこうげき》のひよりさんは妹さんの息子さん、ただし女装をされてます?

《早野凡平さん追悼コーナー》
 1990年に亡くなられた早野凡平さん唯一のお弟子さん、やまけいじさんと松本晋一さんのトークから、やまけいじさんの芸、早野凡平さん生前の素晴らしい映像の上映。芸はもとより早野さんのおしゃべりがキュート、少年の様なナイーヴさが松本さんと同じです。

《印南明美ファンタジック舞踊の世界》
 お母様と舞踊団の皆さんが踊る映像に現在の舞踊団の皆さんが絡みます。一番驚いたのがお母様の下駄タップでした。しかも下駄にタップスの様な物を取り付けているので音がキレイだし、凄いスピードでステップを踏むのに全く音を外さない!タップ・ダンサーだったなんて!
 松本さんによると「母は独自の下駄タップを編み出し、四竹という、片手に竹の板を2枚持って鳴らす楽器がありますが、それを小さく削って下駄のつま先に取り付けていました。金具の音じゃ下駄はダメだというこだわりだったようです」とご説明を頂きました。

 “沖縄メドレー”、“串本節”、“おてもやん”、“花笠踊り”、“佐渡おけさ”、“阿波踊り”などお母様が使う音楽の多くがオーケストラ演奏のものばかりなのと振付の舞台栄えがハンパないのです。映像を拝見しながらSKDやOSKの日舞の場面が浮かんできたほどです。バレエ教室を主宰されていた時代はクラシック音楽に加え、“タブー”や“テキーラ”などラテン系の音楽まで取り入れた選曲センスに脱帽。ここらは松本さんに見事に引き継がれているのですね!
 また、お母様と若き日の松本さんのデュエット、お母様と妹さんのデュエット、さらにお母様と孫のひよりさんのデュエットまでが登場するので涙が出て来ました。場内のお客様も拍手喝采でした。芸人夫婦の宿命で常にライバル意識が強かったせいかお母様と早野凡平さんの夫婦共演だけ無かったのが笑えました。

 晩年の映像には松本さんのお母様が病床でも常に手を動かしていらしたり、早く元気になってまた踊りたいと願っておられたり、亡くなる直前まで前向きだった貴重な映像が残されています。還暦ちょいで今後のキャリアを悩んでいる自分が情け無くなりました。

 松本晋一さん御兄弟による追悼公演は大盛況でした。あらためてお母様、印南明美さんのご冥福をお祈りいたします。

 松本さんから、カラー写真の他にも貴重なモノクロ写真を提供していただきました。
 写真右 上から
 ・石井漠氏のスタジオで 窓際の左端が印南明美さん
  子供達の中央の白いレオタード姿が松島トモ子さん
 ・大学時代の早野凡平さんと印南明美さんのバレエ
 写真下 左から
 ・3人組でキャバレーのショーに出演 中央が印南明美さん
 ・マルベル堂で撮ったと思われるブロマイド
 ・早野凡平さんと印南明美さんの“チビリコマンボ”

天野 俊哉



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