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Vol.197 気になる本「ブロードウエイの舞台で2度も主役を演じた日本人の自伝」
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このコラムにふさわしい本なんて、なかなか見つからないものですね。少年隊の東山紀之さんの「カワサキ・キッズ」や、元宝塚歌劇団トップスター愛華みれさんの「てげてげ」なども読んでみたのですが、どうもピンとこない。書店で何気なく手にとってこれぞという本に出会ったのが9月に入ってからでした。
皆さんはロミ・山田さんという方をご存じですか?私の両親によると、「あの人は歌手だ」との事ですが、私世代だと、歌手なのか女優なのかその位置付けがわかりません。そんなロミさんの自伝「楽譜を抱いて」(角川学芸出版)のオビには、「日本でただ一人、ブロードウェイで二度主役を演じた」とあり、私は知らなかったのでびっくりしました。ロミさんが主演した「スージーウォンの世界」も、「フラワー・ドラム・ソング」の舞台版も、演出はあのジーン・ケリーでした。
ブロードウェイ・ミュージカルの主役というすごいキャリアが、日本の芸能史にきちんと記録として残されていないのが信じられません。ロミさんは、アメリカの新聞に取り上げられた自分の記事の切り抜きをきれいに整理し保存しており、今回の本にたくさん掲載されています。多くの写真と共に、何度眺めても感心してしまいます。
海外渡航が大変困難だった1950年代に、留学生としてアメリカに渡り、ちょっとしたタイミングでミュージカルの主役を手に入れてしまうというシンデレラストーリーでありながら、さすがアメリカのショービジネスで生きてきたロミさんの文章には無駄がありません。本の最後に出て来るロミさんのキャリアのページを、皆さんも書店でちょっと立ち読みされたらいかがでしょうか。絶対に買いたくなりますよ。
ロミ・山田というとハーフのように聞こえますが、ヒロミのロミなので純粋な日本人だそうです。
天野 俊哉
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