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Vol.1959 佐々木隆子先生30回目の命日
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普段ならサッサと打って気軽に送信しているコラムも《隆子先生の命日》がお題だとやはり緊張します。長すぎて削除してしまったり、重すぎて削除してしまったり中々納得出来ずこれで5回目のスタートになります。
1992年4月22日（水）の午前1時5分に隆子先生がこの世を去ったその晩の事はよく覚えています。とても蒸し暑い夜で中々寝付けなかった私はテレビでその頃で放送されていた『ヘルシーダンス』をビデオで観てました。隆子先生の女性のお弟子さんがメインで出演しているいまではお宝映像であります。
みんな可愛かった！
あっ訂正します、今も、です。
うとうとしはじめた1時半頃電話が鳴りましたので慌てて受話器を取ると隆子先生のお母様からでした。そして「天野さん、先生死んじゃった」とポツンとひと言。この瞬間、隆子先生がガンの末期症状で死んでしまう運命だった事を初めて知りました。先生ともっと会って、もっと話しておけば良かった！と凄く後悔しましたが、もう後の祭りでした。
隆子先生は前年1991年の暮れから入院しており、それがガンの再発であり、末期症状であることはご家族と一部のインストラクターにしか知らされておらず、当然私は知りませんでした。
この年の春は隆子先生不在の為、私たちインストラクターはフル回転でした。
3/27（金）東急プラザBEまつり
4/1（水）～テレビ東京『ヘルシーダンス』第2シーズン
4/27（月）～ミュージカル『アニー』
4/29（水祝）＆5/3（日祝）日本橋三越屋上ステージのイベント
5/4（月祝）銀座三越屋上ステージのイベント
そして30ヶ所あるネットワークetc.
さらに私は隆子先生からある指示をされていました。もう時効だと思うので文章にしますが《タップダンスのイベント視察》です。『1991年のナショナル・タップ・デー』以来、隆子先生と入れ替わる様に次世代のタップ・ダンサーの活躍が目立ってきたからです。皮肉にも隆子先生が亡くなるまでの1週間にも2つありました。新宿シアター・モリエール劇場での玉野和典さん率いる『マリアート・スタジオ公演』と新宿ビ・プラン・シアター劇場での冨田かおるさん率いる『シャル・ウィ・タップ公演』がそれです。
冨田かおるさんは隆子先生より一回り若い女性タップダンサーで凄く勢いがありましたので、隆子先生は自分が追われる立場だと強く感じていたはずです。
この冨田かおるさんの公演を4月19日（日）の夜にスタジオの女性と阿部久志さんと3人で観ました。観劇後、阿部さんが冨田かおるさんのテクニックは褒めたものの「隆子先生の持つ華やかさはまだかな？」と言ったひと言が頭から離れませんでした。
私はこの時すでに隆子先生が冨田かおるさんに超されてしまうのは時間の問題かも？と思っていたので病院の隆子先生にどう報告したや良いものか、翌日いっぱい悩み何度も何度も手紙を書きなおしていました。
その4月20日（月）の晩、蒲田スタジオの遅いクラスを担当していた私に隆子先生のお母様から「今から先生の所行くけど何か伝える事ある？」と聞かれました。
その日一日かけて書いた嘘の手紙をお母様に預けました。阿部さんの言葉をメインにした隆子先生を力づける内容のものです。
その晩、隆子先生の枕元でお母様は私の手紙を読んで下さったそうです。「そうね」と先生は力無く応えたそうです。いつの日にか先生と再会したら最初に謝らなければならない事だと覚悟しております。
隆子先生が亡くなってからサンデー毎日という週刊誌に隆子先生の最後の日々を綴ったルポルタージュが連載され、後に単行本として発売されていました。それが今でも手元にある『今、死のありさま』（毎日新聞社刊/広岩近広著）です。
私たちが知らなかった隆子先生の最後の闘病生活とご家族の姿が細かく書かれていて涙なくしては読めません。30年前の本ですが、ぜひ皆さんも入手してご一読頂きたいです。
まだまだ書きたいことは沢山ありますが今回はこれぐらいにしておきましょう。
PS.現在YouTubeで《テレビ東京ヘルシーダンス》と検索すると佐々木隆子先生が指導を担当して淺野康子さん橋爪麻美さんらが出演した第1シーズン（1992年1月～3月放送）、佐藤昇先生が指導を担当しただけでなく出演までして大活躍した第2シーズン（1992年4月～6月放送）が順不同に視聴出来ます。ぜひ一度ご覧になってみて下さい。
文責：天野 俊哉
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