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Vol.1954 もうすぐ生誕100年ジャック・レモン〜エリート俳優(前編)
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古い映画ファンの方ならよくご存知のアメリカ映画の有名なコメディアン、ジャック・レモン。誰も《エリート》とか、《俳優》なんて突き放した表現はしないものですが、私は以前から少しばかり苦手な方であります。まず、コメディアンと言いながら彼はハーバード大学を卒業している。映画デビュー前から既にテレビの世界で活躍しており、映画界でも順風満帆に!デビューして直ぐにアカデミー賞助演男優賞を、キャリア20年目にアカデミー主演男優賞を受賞。ジャック唯一の汚点はアル中患者であることを晩年に公表してしまった事。でも、こんなのわずかな事ですよね。
で、ジャックです。
1950年代のジャックは一時代前のハリウッドの大スター達と次々共演しました。
また、当時の新しいスターであるジュディ・ホリデイやキム・ノヴァックとの共演も新鮮でした。この頃のジャックはとてもハンサムでサラリーマン役を演じてもくたびれたイメージは無くて、それこそエリート・サラリーマンのイメージでした。
『私の夫(ハズ)は二人いる』
ハリウッドを代表するミュージカル女優ベティ・グレイブルとダンスの名手マージ&ガワー・チャンピオン夫妻と共にジャック・コールの振付で歌い踊る!凄い才能だなぁとびっくりしたものです。マンションの幾つもの部屋をベティ、ジャック、ガワーの3人が全く顔を合わさずに入れ替わり立ち替わり動きまくるコメディ場面が素晴らしい(『カッスル夫妻』『ヘルザボッピン』のH・C・ポッターが監督)。
『マイ・シスター・アイリーン』
振付と出演クレジットにあるロバート・フォッシとはあの伝説のボブ・フォッシ。ジャック・コール、ガワー・チャンピオンの次にボブ・フォッシの振付で踊るジャックはやっぱり凄い!ジャックが歌いながら女性に迫るドン・ファンみたいなナンバーも楽しい。ちなみにリチャード・ヨークという俳優はディック・ヨークの芸名にしてテレビの人気シリーズ『奥さまは魔女』で有名になりました。
ジャズ・ダンスのフォッシがモダン・バレエのトミー・ロールと見せるダンス合戦が素晴らしい!ここから先に進めなくなります!
『ミスター・ロバーツ』
ブロードウェイの大ヒット作をジョン・フォード監督が映画化。1930年代からハリウッドで活躍してきたヘンリー・フォンダ、ジェームズ・キャグニー、ウィリアム・パウエルら大御所と堂々の競演。アカデミー助演男優賞を受賞したジャック。もう向かうところ敵無し!
『夜の乗合自動車』
スクープをつかんだ新聞記者のジャックは中々ハンサムです。元々ハリウッドのキング、クラーク・ゲイブルが演じた役柄なので男前に創られているのですね。
相手役のジューン・アリスンは少し前のスターですが、ご主人のディック・パウエルの上手い演出でダボダボの男物のパジャマ姿で歌い踊るミュージカル・ナンバーが冴えています。
コロムビア映画の専属俳優だったジャックはコロムビア映画の女王リタ・ヘイワース、ロバート・ミッチャムと『海の荒くれ』で、グレン・フォードと西部劇『カウボーイ』で共演。普通のドラマでは存在感が薄いものの演技は確かなので記憶には残りました。1950年代のジャックは、新人だったキム・ノヴァックが名優ジェームズ・スチュアートと主演した『媚薬』の様に主人公カップルの恋愛ドラマの合間にチラッと登場して場をさらう位の方がインパクトが強かったのです。ナイトクラブでコンガを叩く、ごく普通に演奏してる演技が妙に可笑しくて可笑しくて笑ってしまいました!このすぐ後、今度はベーシストの役でジャックに最高の役が飛び込んで来ます。
つづく
天野 俊哉
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