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OUR MASTER : 佐々木 隆子
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Vol.1948 DVD BOX『名作映画コレクション』が楽しい
 You Tube映像で1930年代から1950年代の古いハリウッド映画をよく観るのですがスマホの小さな画面と日本語字幕スーパーが無いものがほとんどなので途中で止めてしまう事が多いです。
 そんな中、コズミック出版社から毎月定期的に発売されている10枚組DVDBOXは値段も2000円以内だし、自分が観たことの無い作品が多いし、何と言っても日本語字幕スーパーが有難い。このコラムでは《書店で買えるDVDBOX》として何度も取り上げてきましたが、最近ではこのDVDBOXを扱っている書店が少なく、つい便利な通販を使ってしまいます。
 2月に発売された『一度は観たい!名作映画コレクション』はハリウッドの一流の映画監督であるエルンスト・ルビッチ、クラレンス・ブラウン、ジョージ・キューカー、ハワード・ホークス、プレストン・スタージェス、ビリー・ワイルダーらの作品を中心に10作品を並べました。この中から気になったものを取り上げてみたいと思います。

『女性たち』
1939年・MGM映画・日本未公開
ジョージ・キューカー監督
ノーマ・シアラー/ジョーン・クロフォード

 映画のオープニング・タイトルに「エセル・バリモア・シアターで666回上演された」とただし書きが出るのですが、ブロードウェイの舞台劇の映画化で133分は長くてかなりキツい。
 1939年当時MGM映画が集められるスター女優をズラーッと並べた話題作。以前からタイトルのみ知っていた作品が自宅のテレビで観られるのがまず有難い。監督のジョージ・キューカーがスター女優たちを上手く演出してカメラに収めてゆくのがお見事。気遣いで17年間『東京リズム劇場』を演出してきた松本晋一さんの姿がオーバーラップしてしまいます。
 トップ・ビリングのノーマ・シアラーは良いとして、ジョーン・クロフォードとロザリンド・ラッセルとポーレット・ゴダードらクセのある3人が一緒にカメラに収まる場面にもう冷や冷や。わずかに新米女優のジョーン・フォンテーンと子役のヴァージニア・ウェイドラーの演技だけが受け入れられました。パッケージに一部カラーとあるので楽しみにしていたら劇中のファッション・ショーの場面がカラーで出て来ました。モデルさんは笑顔が素敵なのにMGM映画の名デザイナー、エイドリアンの80年前のデザインが古めかしいのと使用されている音楽が全く魅力無いので残念な結果になりました。ノーマ・シアラーが離婚して家を去る時に彼女を慰める愛犬がカワユイ。

『街は春風』
1936年・ユニバーサル映画
ミッチェル・ライゼン監督
ジーン・アーサー/エドワード・アーノルド

 セリフが凝っていて、レストランのドタバタ場面があまりに面白いのでもう一度タイトルをチェックし直すと原作が推理小説作家のヴェラ・キャスパリ。代表作が映画にもなった『ローラ殺人事件』。
 『ナショナル・タップ・デー2016年』で日本の有名なタップ・ダンサーの多くが松本晋一さんの振付で踊ったのが『ローラ殺人事件』の主題歌“ローラ”。そして、脚本が天才映画作家のプレストン・スタージェス。もうぶっ飛んでいます。
 劇中、株で18000ドル儲けた主演のジーン・アーサーが「前から犬が欲しかったの!」とペットショップに直行、ミュージカル『アニー』に出て来るような大型犬2匹を引き連れ暴れまくる。

『二人で愛を』
1941年・MGM映画・日本未公開
クラレンス・ブラウン監督
ジェームズ・スチュアート/へディ・ラマー

 ヨーロッパ出身の主演女優へディ・ラマーは女優業と並行して科学者のご主人と発明に没頭。発明したのが何と《Wi-Fi》。映画のへディさんを観ながらそればかり考えてました。この映画には犬が出て来なかった!

『処女散歩』
1937年・パラマウント映画
ウォルター・ラング監督
キャロル・ロムバード/プレストン・フォスター

 会社社長のプレストン・フォスターがキャロル・ロムバードを手に入れる為に彼女のフィアンセを日本に飛ばす?発端は驚いたものの、キャロルのコメディ演技に惹きつけられました。花束と一緒にバスケットに入ってプレゼントされた犬がなかなかの演技派。原題の“Love Before breakfast”がなぜ“処女散歩”という題名になったのかは不明ですが戦前の日本の映画会社の本気度は感じられますね。
 キャロル・ロムバードは数年後、『風と共に去りぬ』の大スター、クラーク・ゲイブルと結婚しますが、戦争中の飛行機事故で若くして亡くなりました。

『皇帝円舞曲』
1948年・パラマウント映画
ビリー・ワイルダー監督
ビング・クロスビー/ジョーン・フォンテーン

 その昔、NHKテレビで日本語吹き替え版を観たことがあります。“犬がカップルになり、その飼い主もカップルになる”という設定はディズニー・アニメ『101匹わんちゃん大行進』と同じですが、こちらのが10年早い。蓄音器のセールスマン、ビング・クロスビーとオーストリアの伯爵令嬢、ジョーン・フォンテーンの格差恋愛にビングの雑種犬とジョーンのトイプードルちゃんが絡む。オーストリアの山小屋でビングがタンゴの名曲“奥様お手をどうぞ”を歌うミュージカル・ナンバーがヨーロッパっぽくて魅力的。
 総天然色と言われたテクニカラーの画面が美しい。ヒロインのジョーン・フォンテーンは1917年東京生まれ。お父さんは聖心女子大学の教授でした。

 他に、とても名作とは言えませんが無名時代のマリリン・モンローがその若さをフィルムに焼き付けたミュージカル『レディース・オブ・ザ・コーラス』(1948)が貴重です。そのマリリン、アンサンブル・ナンバーの最初はいるのにダンスが始まるとフェード・アウトしてしまうのは許せない!マリリンの母親役のアデール・ジャーゲンスが舞台でタップを踏みます。

天野 俊哉



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