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Vol.1936 アーリン・ダール追悼〜もうすぐ生誕100年だったMGM映画の美人女優
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Y'sホームページの《生誕100年》シリーズ掲載寸前だったのに惜しくも《追悼コラム》に登場となってしまったのが1950年代のMGM映画で活躍した上品なイメージの美人女優アーリン・ダールさん。昨年11月に亡くなったそうです。
アーリンは1948年のワーナー映画『マイ・ワイルド・アイリッシュ・ローズ』でデビュー、昨年たまたま輸入版DVDを大量購入した中にこの映画がありました。テクニカラーの美しいミュージカル映画でアーリンは主演のデニス・モーガンの恋人役。
ラッキーなスタートだったにもかかわらず直ぐにMGM映画に移ることに。コメディアンのレッド・スケルトン主演『ア・サザン・ヤンキー』(1948)のヒロインに選ばれました。この作品はつい最近日本語字幕入りのDVDを観たばかりですが、南北戦争をコミカルに描いたレッド・スケルトン向きの内容なのに笑えず、しかも白黒画面ではアーリンの美貌が全く冴えませんでした。私は長い事バスター・キートンの映画史上の名作『キートン将軍』(1926)のリメイクだと思っていたのでさらにガッカリしてしまいました。アーリンとレッド・スケルトンは『ウワッチ・ザ・バーディ』(1951)でも共演しましたが、もう1人のヒロイン踊らないアン・ミラーを含めて不発でした。
アーリンの美貌が白黒画面には向かないのかと思いながら観たのが犯罪映画『ノー・クエスチョンズ・アスクド』(1951)。犯罪映画によく登場するバリー・サリヴァン、この頃はミュージカル映画にすっかりご無沙汰だったジョージ・マーフィ、『雨に唄えば』のジーン・ヘイゲン等クセのあるキャストの中でのアーリン。彼女は何故か歴史ものや西部劇や海賊映画みたいなコスチューム・プレイよりもこの『ノー・クエスチョンズ・アスクド』みたいな都会的なドラマでその美しさが強調されたようです。
ではアーリン・ダールの代表作とは?
そう、作詞作曲チームのバート・カルマー&ハリー・ルビーの伝記映画『土曜は貴方に』“Three Little Words”(1950)でしょう。主演がフレッド・アステアとレッド・スケルトン、それぞれの奥さん役をヴェラ=エレンとアーリンが演じました。現在ではジャック・カミングス製作のMGMミュージカル映画のひとつとして知られますがとても良い作品でした。私達が期待するミュージカル・ナンバーはほぼ前半に固まっておりバランスは悪いのですが、踊らないフレッド・アステアが俳優として充分に作品を引っ張るのが頼もしい。作曲のスケルトンが終始ピアノで鳴らし続けるメロディに「イヤなメロディだ!」とずっと反発しているアステアが“スリー・リトル・ワーズ”の素敵な歌詞を付けてスケルトンにプレゼントするラスト・シーンが泣かせます。この映画を観て以来“スリー・リトル・ワーズ”は私の大好きな曲のひとつになりました。
アーリンは舞台の新人歌手の役で登場、やがてスター歌手の代役からハリウッド映画のスターになり、やがてスケルトン扮するハリー・ルビーと結婚します。映画撮影の場面で黒燕尾服を着たダンサーを従えて歌い踊るナンバー“アイ・ラブ・ユー・ソー・マッチ”が素晴らしい。この歌はレコードにも収められているので何度も聴いてますがアーリン自身の歌声なんです。
アーリン・ダールさん、私生活ではターザン映画俳優のレックス・バーカーやラテン系のフェルナンド・ラマスと結婚していたのですね。YouTubeではハリウッド映画時代の名場面集やライフストーリーやインタビューも観ることが出来ます。アーリン・ダールさんのご冥福をお祈りいたします。
天野 俊哉
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