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Vol.1935 宝塚花組公演 レヴュー・アニバーサリー『Fascination』(後編)
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中詰の後、花組の組長が登場し「花組の懐かしい場面を再現します」と解説するのですが、わたくしレヴューの舞台でのこうした解説必要無いと思う人間でして、以前宙組のレヴュー『Amore99』でも往年のレヴュー作家の写真をバックに「次は◯◯先生!」といちいち紹介される度にムッとしてました。なんか花組の代表的作品なら他にも沢山あるのだから自然にリバイバルとして構成するだけに欲しかったです。もとい!
古い古い古いヅカファンなら誰でも知っている小原弘稔氏演出、1988年のグランド・レヴュー『フォーエバー・タカラヅカ』から当時の花組トップスター、大浦みずきさんが演じた“ピアノ・ファンタジー”。オリジナル振付がラスベガスのショー等を振付していたロジャー・ミナミ氏。初演は3部作でしたが、朝香じゅんさんと動く2台のピアノが絡む一つ目は無くて大浦みずきさん演じるピアニストとコーラス・ガールズの場面から。
さて、この大役を務めるのが若手男役の聖乃あすかさんである事に驚きました。凄い大抜擢じゃないですかい?最近の若い人は器用なので実に堂々と大浦さんの遊びの部分(もちアドリブ)まできちんとコピーしてました。どうせなら大浦さんの“アー、ウオー”みたいなかけ声まで真似して欲しかったです。前回と違うのがバックのコーラス・ガールズのスタイルの良さで身長だけでもかなり大きくなっているはず。白燕尾服を着た聖乃さんはこの場面だけ、続いてトップの柚香さんが登場したのでかなりホッとしました。ああ、バックにあるピアノの鍵盤の装置が懐かしい!男役の白燕尾服に対して娘役がノースリーブでバックレスの黒燕尾服、下は懐かしい黒レオタードに網タイツの衣裳。もう完全に昭和の宝塚に戻ってしまった。曲はジョージ・ガーシュインの名曲“ラプソディ・イン・ブルー”。クラシックをベースにしているけれど宝塚のオーケストラがきちんと劇場で演奏できるアレンジにしたあたり小原氏のこだわりが感じられて感激。録音でなくオーケストラの生演奏ですね、ここ。昔観たときはロジャー・ミナミ氏の振付に何だかんだケチをつけていたのに再現された振付を今観るとダンディーなムードに優雅さを兼ねそなえていてガーシュインの曲を最大限に活かしてますね。柚香さんらダンサーの動きもオリジナルを超えているかも知れない。
さて次の“花組名曲集”コーナーはレヴューというよりはコンサートになってしまったと思いました。プラス10分を普段見せ場の少ないベテランや若手に与えて銀矯を渡らせることは賛成ですが、“ピアノ・ファンタジー“までの40分間が流れる様なレヴューだったのでとても残念に思いました。花組の曲と言っても最近のものは“エキサイター”だけで、“ラ・ラ・フローラ”なんて憶えていないし最後が『テンダー・グリーン』の主題歌でしょ?確かにファンは多いと思いますが『テンダー・グリーン』をリアルタイムで劇場で観た人間としてはイメージ悪すぎです。この後、今度は『サウンド・オブ・ミュージック』の“エーデルワイス”が続くので「おいおいレヴューは終わったんかい?」と突っ込みを入れたくなりました。確かに名曲ですが、ここに相応しい曲なんて他にいくらでもあったとおもうのですが。
大階段が出て来てフィナーレ、柚香さんが大勢の娘役に囲まれてようやくレヴュー再開の兆しが。ただここで流れる曲が“ひまわり”。確かに名曲だけどつい最近宝塚のどこかの組のショーに出て来なかったか?そんなことを考えていたのに、黒燕尾服を着た男役が大勢大階段を上なら斜めに下りてくるので気分は一気にレヴュー!平澤智氏振付の男役の黒燕尾服ナンバーのキメポーズ等は瀬戸かずやさんが抜けた後も残された花組メンバーにしっかり引き継がれている様でした。ここからすんなりトップコンビのデュエットにゆかないのがプラス10分の功罪。ここで使われるのが何故かザ・ピーナッツの“情熱の花”?センスなさ過ぎ。
再び登場した柚香光さんと星風まどかさんのAYAKO氏振付のタンゴのデュエット・ナンバー。小柄な星風まどかさんにミモレ丈のスカートをはかせた!つい最近自分も生徒に同じ様なデザインのスカートを選んだので嬉しかったです。星風さんて柚香さんとの方が相性が良いのでは?もしくは星風さん今までより大人びてきたのかも。
演出の中村一徳氏がプラス10分を上手く使えたかどうかはそれぞれの観客が決める事ですが、私は普段通り55分でスピーディーに転換するショーやレヴューのが良かったかな?と思いました。
お正月から宝塚レヴューをテレビ放送してくれた事に感謝します。
天野 俊哉
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