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Vol.1928 もうすぐ生誕100年グロリア・デ・ヘヴン〜MGMの可憐な花?(中編)
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家庭用ホームビデオが普及して映画ビデオが量産されるようになった1980年代半ばに日本の映画館で1940年代の古いミュージカル映画が劇場でリバイバル上映されました。この上映はビデオ販売の為だったそうで採算が合うものなのか不思議に思いながら劇場通いしたものです。グロリア・デ・ヘヴンが1944年にジューン・アリスン、ヴァン・ジョンソンらMGM映画売り出しのトリオで主演した『姉妹と水兵』を銀座の映画館で阿部久志さんと観ました。
『姉妹と水兵』は仲の良いショーガール姉妹がひとりの水兵を好きになるというだけの話、これにハリー・ジェームスと彼の楽団、ザビア・クガートと彼の楽団、コメディアンのジミー・デュランテ、ラテン歌手のカルロス・ラミレス、ジャズ歌手のリナ・ホーン、コメディアンのグレーシー・アレン、ピアニストのホゼ・イタービら豪華アーティストが絡む120分のミュージカル大作。グロリアとジューン・アリスンがコンビで歌い踊るのは最初の20分間。黒燕尾服を着た男装のジューンと白いドレスのグロリアが軽いタップダンスを踊る“スイート・アンド・ラブリー”、バスケットを持って黒のミニスカートのドレス姿で歌い踊る“ア・ティスケット・ア・タスケット”はその昔可愛い振付をパクらせて頂きました!そしてハリー・ジェームス楽団の演奏で男性客を品定めしながら歌い踊る“ラブ・ライク・アワーズ”。その他グロリアが兵隊達に囲まれて歌うソロ・ナンバーがあります。その可憐な姿を全編にわたってスクリーンで見せるグロリア最高の作品になりました。
ダンサーのジョージ・マーフィと楽団出身の歌手ジニー・シムズが主演、人気の高かったトミー・ドーシーと彼の楽団、リナ・ホーン、ナンシー・ウォーカーらが共演した『ブロードウェイ・リズム』(1944)はジャック・カミングス製作のテクニカラー超大作。ブロードウェイのプロデューサーのジョージ・マーフィの若い妹役がグロリア、2人の父親役に器用なチャールズ・ウィニンジャー、グロリアのダンス・パートナーにケニー・バウワー。何となくパッとしない顔ぶれ過ぎて放っておけないミュージカル作品のひとつかも。グロリアがピンクの可愛いチュチュの衣裳でケニー・バウワーとデュエットする“ホワット・ドゥー・ユー・シンク・アイ・アム”は30年近く昔にビデオから音楽を録音したものを使って舞台で踊ったことがあります。父親役のチャールズ・ウィニンジャーの回想場面で奥さん(グロリアの2役)とタップ・ダンスでデュエットする“プリティ・ベビー”は味のあるソフトシュー・ナンバー。グロリアはミュージカル場面以外に着る衣裳がどれもテクニカラーで美しく素敵です。
トミー・ドーシー楽団から独立してソロ歌手として活躍していたのがフランク・シナトラ。RKO映画でミュージカル映画に主演しました。1944年の『芸人ホテル』はブロードウェイの大ヒットコメディをミュージカル映画化したもの。10代でハリウッドに旅行した時にテレビの深夜映画劇場で観たのですが、ミュージカルナンバーの間にコマーシャルが入ったり天気予報が入ったり中々映画が進まなくてイライラ、エンドマークが出た時にはもう朝になっていました。
グロリアはジョージ・マーフィと共にMGM映画から貸し出されての主演でした。映画のオープニング、舞台のリハーサル場面での“ホエア・ダズ・ラブ・ビギン”はグロリアとジョージ・マーフィのデュエット。ホテルのショー場面では何とお風呂に入って“カム・アウト・カム・アウト・フェレバ・ユー・アー”を歌う。フランク・シナトラとは“サム・アザー・タイム”をデュエット。ブロードウェイのショー場面でグロリアが歌い、ジョージ・マーフィが踊る“アスク・ザ・マダム”は何となく古めかしいアラビアンナイト風。フィナーレは白いタキシードを着たフランク・シナトラ、ジョージ・マーフィとグロリアの3人が歌う。
スター街道まっしぐら、と思いきやこの後1948年まで映画の出演作品が存在しないのは不思議。
もう少しつづく
天野 俊哉
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