TAP DANCE LOGO
INSTRUCTORS
STUDIO : 戸塚スタジオ
NETWORK
SCHEDULE
EVENTS
COLUMNS
DANCE TEAMS
LINKS
OUR MASTER : 佐々木 隆子
COLUMNS

Vol.1914 宝塚歌劇星組公演(2021年12月)
 2021年最後の宝塚観劇は礼真琴さん率いる星組公演。
 お芝居は宝塚における時代劇の名手、大野拓史氏作・演出の宝塚剣豪秘録『柳生忍法帖』。そして宝塚を代表する演出家の岡田敬二先生作・演出のロマンチック・レヴュー・シリーズ最新作『モアー・ダンディズム』。年末に相応しい最強2本立てであります。

 お芝居の演出を担当した大野氏、多分劇団プロデューサー氏から「後半は岡田先生(の豪華絢爛レヴュー)だから予算使えへんで」と告示されたに違いありません。確かに衣裳は安上がり、限られたバトン、装置もほとんど無く、全編暗いのは仕方ない。しかし、完成した作品はまるで全盛期の東映時代劇のようなテンポの良さでぐんぐんと観客をひっぱるひっぱる!礼さんは歌も殺陣も上手い方なので頼もしい限り。それに役も多いので若手の男役も娘役も大勢の方に役名やセリフがあったのでやり甲斐があったはず。大野氏の頑張りが感じられました。そして礼さんが下手花道に消えるラストシーンに大きな拍手を送りました。

 1995年花組の『ダンディズム』、2006年星組の『ネオ・ダンディズム』に次ぐ《ダンディズム・シリーズ第3弾》の『モアー・ダンディズム』は、タイトルも似てますがリバイバルが多すぎたようです。昔から観ているヅカファンに懐かしいと思ってもらえれば良いのだろうか?
 帰宅してから1995年版、2006年版の映像をじっくりチェックしましたら羽山紀代美氏振付の“オープニング”は1995年版と同じ、山田卓氏振付の“キャリオカ”は1995年2006年版と同じ、羽山紀代美氏振付の南佳孝氏の歌を使った“ハードボイルド”も1995年版と同じでした。同じとは衣裳、振付、装置、照明等何から何までが同じという事なのですね。ただ良かったのは、個性的な歌い方の真矢ミキさん(1995年版)、発声の悪い湖月わたるさん(2006年版)に比べて今回のトップスター、礼さんはめちゃくちゃ歌が上手いのでどの曲も聴いててゾクゾクしてしまいましたが。
 新しいナンバーでは、謝珠栄氏が出演者をガッツリ踊らせる“ミッション”は照明を当てて変化させる装置にも魅力をかんじました。この公演で退団する愛月ひかるさんに白い士官の衣裳を着せた若央りさ氏振付の“ゴールデン・デイズ”はクラシックを使っており、レヴューの醍醐味を存分に味わえました。フィナーレ前の“アシナヨ”は礼真琴さん舞空瞳さんのトップ・コンビに加えて愛月ひかるさんが絡む心暖まるトリオ・ナンバーでした。こうして全体を見ると岡田先生の新しい場面はどれも成功しているので、あえて20年も昔の物を持ってこなくても作品が成り立つ様に思えるのですね。
 岡田先生のレヴュー作品の魅力のひとつに大作と大作を繋ぐ、つまりは本舞台の場面転換の為の短いナンバーの存在です。サヨナラの愛月さんの歌、次の2番手瀬尾ゆりやさんの歌等に加え、綺麗なドレスを着た娘役さん達の歌も新鮮でした。

 “オープニング”“キャリオカ”“ハードボイルド”のリバイバルがあったのに何故これが無いの?と私的には不満だったのが2番手以下の若手男役6人がカンカン帽に黒のタキシード姿で歌い踊る“ユー・アンド・ザ・ナイト・アンド・ザ・ミュージック”が出て来なかった事でした。
 ちなみに1995年版は、愛華みれ、紫吹淳、海峡ひろき、匠ひびき、初風緑、伊織直加。それぞれが目一杯男臭く、キザる姿はヅカファンにとっては待ち遠しい場面。カーテン前で歌ってから上下から3人ずつエプロン・ステージに飛び出してくるイカした演出に毎回ワクワクしたものです。現在、どの組も3番手以下のスターが弱いのでこうした場面を使ってスターを育てると共に観客にもっとアピールするべきだと思いました。岡田先生らしくないな、とがっかりしてしまいました。

 私が観劇した日は女子校の学校観劇日にあたり、大勢の女子学生の皆さんが着席していました。宝塚歌劇を選択した学校の先生方も見る目があると思いました。
 場内を見渡すとまだまだ私より年長の観客が多いので、若い皆さんの中からこれからの新しい観客と共に明日のタカラジェンヌが生まれて欲しいなと思いました。

天野 俊哉



Copyright 2005 Y's Tap Dance Party. All rights reserved.