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Vol.1908 もうすぐ生誕100年ジョーン・レスリー〜ハリウッド映画のアイドルスターD
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『アメリカ交響楽』(1945)
1945年、ワーナー映画は第2次世界大戦がそろそろ終わる事を見越して戦意高揚映画や兵士や銃後の市民を描いたものを卒業してしまいました。戦争が終わればアメリカ国内だけでなく全世界からの収益が見込めるのでミュージカル映画でも保守的な内容の作品が必要になったのです。それが音楽家の伝記映画でした。いち早くコール・ポーターの伝記『夜も昼も』とジョージ・ガーシュインの伝記『アメリカ交響楽』が製作されました。私は1985年にこの映画を銀座の映画館の大きなスクリーンで観ることが出来ました。そして今回久しぶりにDVDでの鑑賞となりました。
ジョージ・ガーシュインの名曲がどの様に舞台やコンサートで発表されてきたのか?評価されてきたのかが丁寧に紹介されます。アル・ジョルスンが歌って大ヒットした“スワニー”、ポール・ホワイトマン楽団による“ラプソディー・イン・ブルー”、名ピアニストのオスカー・レヴァントの演奏による“パリのアメリカ人”、そして名作『ポギーとベス』からアン・ブラウンが歌った“サマータイム”。舞台では失敗してしまった“ブルー・マンデー”もこの映画で観ると素晴らしい!テクニカラーでなく白黒画面にした事でコンサート場面がシックでリアルな雰囲気に創れたのでは無いでしょうか?
出て来る音楽が全て有名なので、“エンブレイサブル・ユー”や“デリシャス”などジョーンの歌が吹き替えなのは勿体ないと思いました。逆にダンス・ナンバーはどれも素敵で、“ス・ワンダフル”“レディ・ビー・グッド”など1920年代の「ジョージ・ホワイトのスキャンダルズ」でのショー場面ではルロイ・プリンツの振付とジョーンの表情とダンスが最高。さらにジョーンがトム・パトリコフというおじさんタップ・ダンサーとのユニークなデュエットが楽しい!曲がY'sの皆さまとはご縁のある“サムバディ・ラブズ・ミー”ですのでなおさらです。ここの振付は多分トム・パトリコフですが、ヴォードビリアンらしい観客ウケしそうなアクションを持ってきているので何度見ても感心してしまいます。ジョーンの若々しい動きも実に魅力的です!
『アメリカ交響楽』を監督したアーヴィング・ラパーはこの時期ワーナー映画の専属だったのですが、ミュージカル映画をこんなにテンポ良く創ってしまうなんて見直しました。100歳までご存命だったのも凄いですよね。
戦後、ジョーン・レスリーはワーナーで『婿探し千万弗』『王子と運ちゃん』など数本のプログラム・ピクチャーに主演しました。やっと20歳をすぎたばかりなのにワーナー映画をクビになって最高のキャリアを終わらせてしまったのは残念な事ですが、それ以降も映画出演は続きました。私が思うほど悪い人生ではなかったのかも知れません。
現在、YouTubeではこのコラムで取り上げた最盛期のダンス映像の多くを見ることが可能ですので興味のある方はぜひジョーン・レスリー(Joan Leslie)を検索してみて下さいね。
天野 俊哉
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