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OUR MASTER : 佐々木 隆子
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Vol.1894 ジェーン・パウエル追悼(そのB)
 オペレッタ・ミュージカル映画のプロデューサーのジョー・パスタナックに育てられて我らがジェーン・パウエルはスター街道を進みますが、MGM撮影所の中にあるハイスクールの同級生エリザベス・テイラーと映画ではライバルに。

『スイングの少女』(1948)
 テクニカラーの美しいミュージカル映画ですが、戦争に負けてお金の無かった日本では地味な白黒フィルムで劇場公開されました。ジョー・パスタナック製作ミュージカルのベスト!私は10代最後の夏休みに『スイングの少女』が撮影されたハリウッドの映画館でこれを観る事が出来ました。さて、キュートなジェーンのまわりをMGMが集められるアットホームな雰囲気のスターで固めました。当時16歳のエリザベス・テイラーがその圧倒的美貌で映画を乗っ取ろうとしますが、ジェーンも“ラブ・イズ・ホエア・ユー・ファインド・イット”を大人っぽく挑発的に歌って彼女に対抗します。ジェーンが歌ったこの曲を2000年の宝塚レヴュー『ザ・ビューティーズ』では当時の花組トップスターの愛華みれさんが“ハート・ジャック”という歌詞でカッコ良く歌ってました。
 ジェーンは彼女の代表曲である“イッツ・ア・モスト・アンユージュアル・デー”をこの作品で披露するのですが、映画の最初で歌う時はあくまでリハーサル場面としてですし、映画の最後で歌う時は映画のメイン・キャストの全てをカメラが撮してゆくので意外にもジェーンだけのショットが少ないのです。
 でもジェーンは最高なのですね!

『ラグジュアリー・ライナー』(1948)
 ジェーンが船長である父親の豪華客船に忍び込みオペレッタのスターとして通用するか?歌に恋に大奮闘するミュージカル。MGM映画ではジェーンより年長で父親役か母親役のウォルター・ピジョン、ジャネット・マクドナルド、ウォレンス・ビアリーそしてこの作品でのジョージ・ブレントらが配役の最初に来てしまうのでジェーンは相変わらず2番手のままです。寄宿舎の文化祭の場面では宝塚みたいな男役姿のジェーンが見られます。この場面とフィナーレでのラウリッツ・メルヒオールとの2重唱で2回歌われるのが“スプリング・ケイム・バック・トゥ・ヴィエナ”という曲で、『ザッツ・エンタテインメントPART3』では水着の女王エスター・ウィリアムのナンバー紹介のBGMとしても登場しました。“イッツ・ア・モスト・アンユージュアル・デー”と共に私の大好きなジェーンのナンバーです。ジェーンは他にもラテンのザビア・クガート楽団の演奏でポピュラー音楽の“ピーナッツ・ヴェンダー”を歌います。今回かなりの年長ですがラウリッツ・メルヒオールという男性のオペレッタ歌手と共演出来た事はジェーンのキャリアに大いにプラスになりました。

 つづく

天野 俊哉



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