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OUR MASTER : 佐々木 隆子
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Vol.1893 ジェーン・パウエル追悼(そのA)
 9月16日にジェーン・パウエルが亡くなりました。ジェーンはMGM映画の歌うスターとして1940年代から50年代にかけて『スイングの少女』『恋愛準決勝戦』『掠奪された七人の花嫁』等のミュージカル映画で大活躍しました。近年、同じ時期に活躍したエリザベス・テイラー、ヴィック・ダモン、デビー・レイノルズ、マージ・チャンピオンらが次々亡くなる中、ご高齢のジェーンがアメリカで生きている現実は私や松本晋一さんのようなMGMミュージカルの熱烈なファンにとってとても幸せな事だったのです。

 1974年にMGM創立50周年記念映画として製作された過去のミュージカル映画の名場面を集めた『ザッツ・エンタテインメント』は全世界で大ヒットしました。すっかり隠居していたフレッド・アステア、ジーン・ケリーをはじめ往年のハリウッド映画スター達が一気に返り咲きました。私や松本晋一さんはこの『ザッツ』でミュージカル映画に、タップダンスにはまりました。映画の前半に登場した可憐なジェーン・パウエルが歌ったのが“イッツ・ア・モスト・アンユージュアル・デー”で、この時以来アステアやケリーのダンス・ミュージカルと共にジェーン・パウエルのオペレッタ・ミュージカルにも興味を持ちました。ジェーン・パウエルが1944年から1958年までのミュージカル・スター時代に主演した作品は16本、うちMGMミュージカルは12本、日本で劇場公開されたのがたったの4本です。

『ソング・オブ・ザ・オープン・ロード』(1944)
 小さな映画会社が製作した青春ミュージカルでジェーンのデビュー作。主人公の役名ジェーン・パウエルがそのまま彼女の芸名になりました。本名のスザンヌ・ロレイン・ブルースは、ミュージカル映画よりフィルム・ノワール(犯罪映画)にマッチしそうなお名前です。
 白黒画面ながらハツラツとした表情で歌う15歳のジェーンが素敵です。現在では物凄いスピードでステップを踏むコンドス・ブラザーズのタップ・ダンスで知られる映画ですが、少年少女のビッグ・バンド演奏場面でドラミングを見せるカール・キッフェという少年がまた凄い。彼は後に若くしてジミー・ドーシー楽団のドラマーとして活躍しました。

『ホリデー・イン・メキシコ』(1946)
 1930年代にディアナ・ダービンという少女オペレッタ・スターを育てたプロデューサーのジョー・パスタナックがジェーンをMGM映画にスカウトしてスターに。127分ゆっくり進行するストーリー展開はバカバカしいもののテクニカラーの美しいミュージカル映画です。
 歌のジェーンとイローナ・マッセイ、ピアノ演奏のホゼ・イタービ、ラテン音楽のザビア・クガート楽団などパスタナック作品らしい顔ぶれ。オペレッタ・スターというとクラシカルなイメージですが、ジェーン・パウエルと中国人の男の子の軽快なダンス・ナンバー(振付/スタンリー・ドネン)が素晴らしい!モダンなダンスをこなせる事が証明出来たのに最終的にカットされてしまったのは残念です。

『スリー・ダーリング・ドウターズ』(1948)
 1930年代に一世を風靡したオペレッタスターのジャネット・マクドナルドの主演映画。素敵な衣裳に、数々のソロに、山のようなクローズアップの連続は引退直前の彼女へのMGM映画からの最後のプレゼントだったに違いありません。それにしてもジャネットの恋のお相手がピアニストのホゼ・イタービという冗談みたいなストーリーが信じられない。当時のアメリカの観客は全然ロマンチックに見えないジャネットとホゼ・イタービのカップルを認めたのだろうか?
 さて、ジェーンはそんなジャネットの3人娘の長女役、この3人娘というのはパスタナック作品のお得意の設定ですが、ジェーンのセリフも三分の一程度に減ってしまったのは残念。
 若い男性スターや賑やかなザビア・クガート楽団が出演しないこのキャストでの上映時間115分はかなりキツい。

 つづく

天野 俊哉



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