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OUR MASTER : 佐々木 隆子
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Vol.1888 日本タップ界のジェーン・パウエルたち〜橋本祥さん
 MGMミュージカルの歌うスターとして人気のあったジェーン・パウエルが亡くなりました。今回は日本のタップ・ダンスの舞台でも、そんなジェーン・パウエルの映画からイメージして踊ったり、振付をした方がおりますので皆さまにご紹介したいと思います。

 ジェーン・パウエルがダンスの神様フレッド・アステアと共演した映画『恋愛準決勝戦』のデュエット・ナンバーは“HOW COULD YOU BELIEVE ME WHEN I SAID I LOVE YOU KNOW IVE BEEN A LIAR ALL MY LIFE”という長いタイトルの物でした。
 このナンバーをベースに《日本のフレッド・アステア》こと白川希さんと才能豊かな女性タップ・ダンサー橋本祥さんが『2018年の東京リズム劇場』で初デュエットしました。振付もお2人が担当したそうです。
 今回は白川希さんにこのナンバーのエピソードをお願いしました。
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 演出・松本晋一さんからの「何か一曲」との依頼を受けて「女性とのデュオで」と返答したところ数名の候補をいただきました。先輩でリズム劇場の看板の一人である橋本祥さんを選ぶなどとはとても恐縮だったのですが、ご本人は快諾。僕にとってはこの時点で全体の8割程が決まったようなものでした。そのイメージが“How Could You(以下略)”だったのです。
 曲は以前から僕が趣味の範囲で聴いていたRichard Cheeseという変わり者のシンガーのアレンジで、いつか使えたらと温めていた物です。約2分程と短かったので、好き勝手にかなりの編集を施しました。ブリッジ部分などは別の曲のドラムを持ってきましたし、本家QUEENの或る曲からも拝借しています。
 振付はイントロのご自身のソロが祥さん、残りは僕が自宅のリビングで作りました。作りながらアイデアが浮かび、リハーサルをしながら変更を重ねるものですから、曲の構成も変えざるを得ません。完成テイクだけでも10は超えると思います(ラップ調の歌詞が付いたバージョンもあります)。
 アメリカンヤンキー風を装いたくてガムを噛みながら踊る提案をしました。初めは噛んでいるふりだったのですが、いまいち雰囲気が出ないし後半疲れてくるとやめてしまう。いろいろ試して辿り着いたのがクロレッツの2個噛み。本番では5種類の味のブレンドを毎回変えて臨みました。千穐楽以来今日まで、僕はガムを一度も口にしていませんが、祥さんもだそうです。
 衣裳に関しては白川は「寄せすぎ」たなと反省しています。コスプレの誘惑に負けたわけですが、その言い訳は「どうせみんなそんなに知らないでしょ」。祥さんのワンピースは二転三転しましたが、結果さすがのセンスだなと思います。帽子のグリーンが見事です。
 リハーサル開始当初から祥さんがとにかく前のめりで協力をしてくださったことが、今回の換骨奪胎(≒パクリ)ナンバーの完成・本番までの原動力であり、それより何より大きな喜び(そしてプレッシャー!)でした。
 曲の途中、随所でいただいたお客様のちょっとした反応の感触は今でも忘れません。(白川 希)

 白川希さん素敵なエピソードをありがとうございました。ハリウッド映画から飛び出してきたようなお2人のデュエットはホントに楽しかった!そしてこんなに凄いデュエット・ナンバーを見ることの出来た『東京リズム劇場』って最高でした。

 つづく

天野 俊哉



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