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Vol.1871 宝塚歌劇月組公演(2021年7月)
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宝塚歌劇団月組の若きトップスターの珠城りょうさんとトップ娘役の美園さくらさんのサヨナラ公演。
私が珠城さんを初めて認知したのは宝塚歌劇団100周年の2014年春に東京で上演されたグランド・レヴュー『TAKARAZUKA花詩集100』でした。そのまま一気にトップスターまで登りつめた珠城さんは、近年まれに見る“がたいの良い男役さん”。ハリウッドのダンシング・スター、マッチョ体型でダイナミックに踊るジーン・ケリーが演じてきた『雨に唄えば』のドン・ロックウッド役、『三銃士』のダルタニアン役、『オン・ザ・タウン』のゲイヴィー役を軽々と演じてしまいました。
今回宝塚ファンの方に入手して頂いたサヨナラ公演のレア・チケットですが、私のワクチン接種二回目の日程とぶつかり一度はお断りしてすっかり諦めていたのですが、後日運良く別の日をお誘い頂けました。そして、7月末の暑い暑い日に東京宝塚劇場まで出掛けました。
作・演出/上田久美子
ロマン・トラジック
『桜嵐記』
南北朝の動乱期、名将として名を残す楠木正行の鮮烈な命の軌跡を、弁内侍との恋と共に描く。珠城さんの出世作として知られるのが『月雲の皇子』という作品。その演出を担当した上田久美子氏とサヨナラ公演で巡りあえたなんて実に強運な珠城さん。上田氏には『星逢一夜』という日本物の名作があり、とても素敵な作品だったので今回もこの新作を楽しみにしていました。舞台一面に拡がる桜の花が美しく、最後はその中で命が散ってゆくのがとても切なかったです。最後の最後に珠城さんにとっての代表作がまた一つ加わって良かった。また、兄妹役の鳳月杏さん、月城かなとさんともガッツリ組めたのも観ていて嬉しかったです。また、上田氏はどちらかと言うとボンボンのイメージで私の点数がいつも辛い暁千星さんに彼女とは真逆の“静”の芝居をさせたり、若手のホープ風間ゆずのさんに主役と対立する難しい役を与えたり一歩でも二歩でも成長させなければ、というスター育成の使命を忘れていない。映像ではなく客席からもう一度観たいと思わせる作品でした。
作・演出/中村暁
スーパー・ファンタジー
『Dream Chaser』
お芝居が悲劇だった場合、後半のショーやレヴューはなるべく明るくて楽しい方が良いのですが中々うまくゆかないのがカップリング。雪組にいらした望海風斗さんのサヨナラ公演の時はお芝居がベートーヴェン、ショーがシルクロードと両方とも重かった!
今回はラッキーでした!
中村暁氏の単純明快で分かりやすい構成は和物のお芝居の後にはウェルカムですね。しかも作品のコンセプトが
《“DreamChaser”とは夢を追いかける人。夢を追うひたむきさを情熱をテーマに、場面毎に異なった世界観の音楽とダンスで、月組生徒の多彩な魅力をお届け致します。》
うん、分かりやすい。はっきり言って宝塚の5組どこでも通用しちゃう内容。この先生、企画書の達人かも(宝塚歌劇団では演出家が提出する企画書で採用が決まるらしい)。
衣裳も装置もシンプル、バトンもお芝居に譲ってしまった?と思う位軽い。3場面位は録音を使用したり、そういえばオーケストラ指揮の佐々田愛一郎氏はお芝居とショーの連続起用でした。
これって予算削減?
サヨナラ公演特有の“別れ”に重きを置かずにスムーズに流れるのは親切。
オープニング振付/若央りさ
スパニッシュ振付/羽山紀代美
タンゴ振付/ANJU
若手男役ナンバー振付/百花沙里
中詰ナンバー振付/御織ゆみの
生命の讃歌振付/平澤智
フィナーレ振付/御織ゆみの、百花沙里(ロケット)、御織ゆみの(黒燕尾服)、羽山紀代美(デュエットダンス)
パレード振付/百花沙里
タンゴのナンバーで珠城りょうさんが次期トップ娘役の方と組んだり、キャスティングも上手いなぁと思わせる部分が多かったです。また、いつもならデュエット・ダンスでショーが終わるところを懐かしい“追憶”の主題歌に乗せて珠城さんと男役さん達が絡む場面が続くのは上手い演出。珠城さんの額の汗を胸ポケットのハンカチーフで軽く拭いてあげる上級生の振りも暖かくて良かった!
もう何回も書いてますが私は宝塚を退団された普通人を追うタイプではないので、珠城りょうさんと美園さくらさんの最後のお姿をしっかりと目に焼き付けて劇場を後にしました。
天野 俊哉
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