TAP DANCE LOGO
INSTRUCTORS
STUDIO : 戸塚スタジオ
NETWORK
SCHEDULE
EVENTS
COLUMNS
DANCE TEAMS
LINKS
OUR MASTER : 佐々木 隆子
COLUMNS

Vol.1868 日本タップ界のベテラン・プロデューサー中川裕季子先生始動!
 日本のタップダンス界には《プロデューサー》という肩書きのお方が大勢おられますが長年のキャリアとスケールの大きさなら中川裕季子先生の右に出る者はおりません。
 そう、待ちに待った中川裕季子先生のプロデュース公演が開催されました。
 しかも突然という感じで、そこが中川先生らしい。華やかにスタートを切った東京オリンピックとの同時開催を連想させるチラシに掲載されたダンサー達のポーズ写真の数々、熱すぎる!
 ナレーションが女優の水沢アキさん、脚本と演出の橋爪貴明氏は確か俳優橋爪功氏の息子さんだったはず。
 そして今回の公演『Ex Change Again』。
 大高純子先生とお弟子さん、藤川誠さんとお弟子さんのご出演が特に嬉しい!
 最後にご一緒させて頂いたのが2018年春の舞台でしたのでお2人の華麗なタップダンスを拝見するのも実に3年ぶりであります。なんか懐かしい!

 この日は遅刻をしないように開場の2時間前に家を出ましたが何故か新橋に着いたのが開場30分前。そんなに遠くないのになぁ。博品館劇場の斜め下にある昔ながらの喫茶店北欧でアイスコーヒーとミルクレープのケーキで心の準備を。
 開場時間と同時に会場入りしました。
 さてコロナ渦救済公演として全席指定席半数という事で狭い博品館劇場で完全ソーシャル・ディスタンスを。頭が下がります。プログラムの配布も販売もありませんでしたので正確な出演者、出演団体名は分かりませんが仕方ないですね。
 メモをとりながらの観劇となりました。

 クラシックの名曲“詩人と農夫”が流れ、白いスクリーンには中川三郎先生の写真が、次いで簡単なプロフィールの最後には裕季子先生たちファミリーの貴重な写真も映し出されます。
 中川先生と言えば“スィング・スィング・スィング”。ダービー帽と上下黒い衣裳の男女14名が踏むタップダンス。後半若い男性の長いソロがありました。
 再びスクリーンにはチャールストン時代の映像が映し出され、舞台にはウクレレの演奏からブロードウェイ・ミュージカル『SWING』のオーヴァーチュア。若い男女がジルバなどのスイング・ダンスを踊ります。
 次いでブルーのスーツを着た藤川誠さんと男性3名、ブルーのドレスを着た女性2名がシアター・スタイルの振付で踊るのが“42番街”しかもブロードウェイ・ミュージカル版の長いオーヴァーチュア!凄いスタミナです。最初から最後まで笑顔でステップを踏み続ける藤川さんに脱帽。
 雰囲気はガラッと代わってスパンコールが眩しい、チャーミングなリリアンの衣裳を着た大高純子先生と4名の女性メンバーによる“素敵な貴女”。水色のリリアン衣裳の大高先生が華やかで素敵でした!ソロもあるフォーメーションは大高先生お得意のスタイル、まるでファッションショーの様な場面でした。
 グレン・ミラー楽団の“ペンシルベニア65000”のモダンなアレンジ曲では4名の女性タップダンサーが登場しました。オシャレなデザインのシャツでボーイッシュな魅力のタップダンスで、ひとりひとりのリズムが正確で記憶に残りました。どういう方達なんだろう?
 この後に登場した長身の男性2人が踏むタップダンスが中々の収穫でした。ズートスーツみたいなファッションで、着こなしの上手さは今のタップダンス界では珍しい。スタイリッシュな振付も私は好きでした。

 さて、ここでスクリーンに映し出されるのが、ダンスとはかけ離れた太平洋戦争の映像、ルーズベルト大統領かトルーマン大統領の映像が出て来ると思いきや一気に飛んでケネディ大統領の映像、ベトナム戦争の映像など。一応時代背景があるようですが、迷彩服の衣裳を着て赤い照明の下でのHIPHOPダンスのあと再びスクリーンに映し出されたのが911のツインタワー崩落映像でした。そして当然の流れでコロナ・ウィルスのあの写真になりました。ダンス・エンタテインメントを楽しみに劇場までやって来た観客の皆さんはこの展開をどう思ったのかな、と気になる部分ではありました。
 追い打ちを掛けたのが突如始まったお芝居。しかもドラマチックなセリフのやりとり。多分メッセージ性のあるものを入れたかったのでしょうね。感染によって気持ちの離れてしまった男女の芝居《愛を取り戻せるか?》の後に感情的なアルゼンチン・タンゴの踊りを持ってきた構成は絶妙でしたが。

 ひとりの少年が命の種を巻くお芝居ののち、中川裕希子先生の著書と同じ名称「リズミー・ハーツ」がナレーションで叫ばれフィナーレに突入します。
 先ずは藤川誠さんの振付で藤川さんのお弟子さん男性3名女性2名のタップダンス。センターをつとめる小林望夢さんのリードと皆さんのパワフルな動きが頼もしいけどやはり藤川さんの笑顔を見せて欲しかった!
 続いて先の女性4名によるアカペラタップ、表情も豊かでかなりの実力者。
 下手からマイクを持って登場したピンクのドレスを着た中川裕季子先生が男性と歌う“ス・ワンダフル”。せっかくのヒロイン登場なのに演出が残念、次に中川先生振付の素晴らしいジャズダンス(“トゥー・ダン・ホット”)を踊るカラー・ドレスの女性10名のポーズ決まりから中川先生を登場させるべきでしたね。
 男性2人のファンキーなデュオを中心に3ペアがハイレベルなジルバを見せる。最後には再び“スィング・スィング・スィング”が今度はジャズダンスで。女性ダンサーの皆さんが裕季子先生を思わせる白いパンツルックなのが嬉しい。裕季子先生振付のオーソドックスなジャズダンスが格好良くて最高でした。

 メインキャストが勢揃いした中にナレーションをつとめた水沢アキさんが客席から舞台に。そして客席でコッソリ観劇していた水谷豊氏が紹介されました。
 芸能人をさり気なく担ぎ出してしまうのが中川ファミリー・プロデュースの強みであります。
 皆さまお疲れ様でした。

天野 俊哉



Copyright 2005 Y's Tap Dance Party. All rights reserved.