TAP DANCE LOGO
INSTRUCTORS
STUDIO : 戸塚スタジオ
NETWORK
SCHEDULE
EVENTS
COLUMNS
DANCE TEAMS
LINKS
OUR MASTER : 佐々木 隆子
COLUMNS

Vol.1850 もうすぐ生誕100年ペギー・ライアンE1944年のペギーその1
 ユニヴァーサル映画のB級ミュージカルでドナルド・オコンナーとのコンビがピークを迎えた1944年のペギー・ライアンを取り上げます。

『チップ・オフ・ザ・オールド・ブロック』
(1944/2/25公開)

 監督/チャールズ・ラモント
 振付/ルイ・ダプロン
 ドナルド・オコンナー
 ペギー・ライアン
 アン・ブライス
 もうここら辺になると他の作品と判別が出来なくなります。第2次世界大戦後期のアメリカゆえ、舞台は海軍の学校から始まります。少しばかり予算が増えたのか?ミュージカル・ナンバーやBGMの演奏などがゴージャスになりました。ドナルド・オコンナーが故郷に帰る汽車の中で出会うのがユニヴァーサル映画の新人アン・ブライス。アンは1950年代の末まで沢山のハリウッド映画の主演女優として活躍する事になります。私がアンの歌声を聴くのはこれが初めて。ドナルドとのデュエットがとても相性が良くて、パッとしなかったオペレッタ歌手のグロリア・ジーンのポジションを簡単に取ってしまいました。不思議なくらいアンの笑顔とかセリフを喋る場面がイキイキしています。

 汽車が駅に着くと早速登場する我らがペギー。ドナルドの幼なじみらしいが完全無視されてしまうのはいつものパターン。ドラマを動かす若手俳優がドナルド、ペギー、アンの3人だけで、あとは冴えない中年俳優ばかりが大半を占めているのが残念です。
 映画が半分過ぎた辺りでドナルドとペギーの歌のデュエットが始まります。最初は中々ロマンティックですが、いざ踊り出すとドタバタに逆戻りしてしまいます。舞台のリハーサル場面でドナルドとペギーの夢の場面では黒燕尾服を着たドナルドのドレスアップしたペギーのアステア&ロジャース風の振付で優雅に、ダイナミックに踊ります。ラストのチャリティー・ショーの場面は安っぽい海賊の衣裳でのアンサンブル。タップダンスも出てくるけれど取るに足らない。後半からはドナルドとペギーの出番ばかりですっかり忘れられたアンですが、ラストはキラキラした3人のアップでエンドマークに。

 1957年にサイレント映画時代に喜劇の王様と言われたバスター・キートンの伝記映画が製作されたのですが、ドナルドとアンが主演したのを想い出しました。

『フォロー・ザ・ボーイズ』(1944年3月31日公開)
 監督/エドワード・サザーランド
 振付/ジョージ・ヘイルetc.
 主演/ジョージ・ラフト
 主演/ヴェラ・ゾリーナ
 ゲスト/ジャネット・マクドナルド
 アンドリュース・シスターズ
 オーソン・ウェルズ
 マレーネ・ディートリッヒ
 ダイナ・ショア
 ドナルド・オコンナー
 ペギー・ライアンetc.
 第2次世界大戦中のハリウッドでは8つの大きなスタジオが専属のスターを並べて豪華なオールスターによる戦意高揚映画を製作して競い合いました。これは1930年代にギャング映画の大スターとしてならしたジョージ・ラフトとバレリーナのヴェラ・ゾリーナを主役に迎えたユニヴァーサル映画のスター達によるミュージカル映画。

 全てを語ると長くなるのでドナルドとペギーの場面だけを取り上げます。何万人という兵隊が待つ戦地の仮設舞台(これは実写)に登場したドナルドとペギー。衣裳ではなくてスーツとワンピースの普段着という辺りがナチュラルで良い!彼らの振付は多分ルイ・ダプロンの担当だと思います。それまでの作品の振付とかなり近い感じですが、お笑いよりもアクロバティックなジルバのデュエットは圧巻。今回のダンス場面は長すぎず成功しています。
 正規ルートでビデオとDVD発売された唯一のドナルドとペギーの共演作品。現在、YouTubeでは本編はおろか彼らのダンスナンバーすら観ることが出来ないのは何故でしょう?すっかり動作の鈍くなったジョージ・ラフトのダンスはあるのに。

『ザ・メリー・モナハンズ』(1944/9/15公開)
 監督/チャールズ・ラモント
 振付/ルイ・ダプロン、カルロス・ロメロ
 ドナルド・オコンナー
 ペギー・ライアン
 ジャック・オーキー
 アン・ブライス
 ローズマリー・デ・キャンプ
 ドナルド、ペギー、アンのユニヴァーサル映画若手トリオの為に20世紀FOX映画からジャック・オーキーを、ワーナー映画からローズマリー・デ・キャンプら歌って踊れるベテラン俳優を借りてきて作品を強化しました。90分を越えるユニヴァーサルでは大作に値するA級作品。
 ヴォードビル一家を描いたバックステージ物で、ジャック・オーキーが父親を、ドナルドとペギーが兄妹を演じます。映画の前半に登場する“スリー・モナハンズ”のショー・ナンバーがセットをはじめハンドベルのナンバーもバラエティに富んでいて優れてます。ドナルドとペギーのこれまでの青春コメディや軍隊ものは一体何だったんだ!と思ってしまう位2人のヴォードビルの芸人役が板についており役柄や場面に無駄がありません。さらに当時40歳の巨漢ジャックの軽やかなダンスには驚くばかりです。ドナルドの恋人役に出世したアンは歌に演技に若手スターの地位を確立しつつありますが、さすがにヴォードビルの世界には馴染めず。

 映画のラスト、兄妹が出世してブロードウェイの舞台に出演する事に。階段を使った大きなセットに大勢のコーラス・ガールズ、バレエの衣裳で現れたドナルドとペギーの短いコミカルなバレエから、白い衣裳のラインダンスに、正装したドナルドとペギーのタップとタンゴ・ダンスへと続きます。
 90分あるとストーリー展開に加えて、フィナーレのミュージカル・ナンバーにもペーソスを盛り込む事が出来るので見終わった後の充実感が違います。
 成功作として記憶に残ります。

天野 俊哉



Copyright 2005 Y's Tap Dance Party. All rights reserved.