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Vol.1827 もうすぐ生誕100年エヴァ・マリー・セイント
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1924年7月4日生まれの女優エヴァ・マリー・セイントさんは現在96歳で御存命であります。
ニューヨークの名門アクターズ・スタジオで演技を学び、1950年代にブロードウェイの舞台で活躍した後1954年ハリウッド映画に招かれました。映画デビューはエリア・カザン監督の社会派ドラマ『波止場』。ハリウッドの異端児として話題をさらっていた実力派のマーロン・ブランドが主演、カール・マルデン、リー・J・コッブ、ロッド・スタイガーらが共演、我らがエヴァ・マリーさんは映画のタイトルに《イントロデューシング》と特別な扱いでの登場となりました。そして、兄を殺害されてしまう女性を演じたエヴァ・マリーさんは堂々の主演女優ぶりでした。
1954年のアカデミー賞では作品賞、監督賞、マーロンの主演男優賞と共にエヴァ・マリーさんも助演女優賞を受賞したのです。私は1955年にテレビ放送されたこのアカデミー賞授賞式の映像を持っているので今まで繰り返し観てきました。ロス・アンジェルスの会場とニューヨークの会場からの二元中継で、当時妊娠中のエヴァ・マリーさんはニューヨークの会場での参加でした。オスカー像を渡された時のスピーチは「私は今この場で出産するべきなんでしょうね!」みたいな実にきわどいジョークでした。この年のアカデミー賞ではノミネートされたスター達がプレゼンターもつとめる豪華版でした。
実は1924年生まれのマーロン・ブランド、ニナ・フォックのコラムを書いていたら不思議な事に気づいてしまい、そのタイミングでのエヴァ・マリー・セイントさんのコラムとなりました。何故、エヴァ・マリーさんは主演女優ではなくて助演女優でのノミネートだったのか?『波止場』には他に目立った女優さんは出演しておらず、例え新人と言えどもエヴァ・マリーさんは間違いなく主演女優であります。
さて、この年のアカデミー賞で主演女優賞にノミネートされたのが
☆グレース・ケリー(パラマウント映画『喝采』)
×ジュディ・ガーランド(ワーナー映画『スタア誕生』)
×ドロシー・ダンドリッジ(FOX映画『カルメン・ジョーンズ』)
×オードリー・ヘプバーン
(パラマウント映画『麗しのサブリナ』)
×ジェーン・ワイマン(ユニヴァーサル映画『心のともしび』)
1955年当時、近々モナコ王妃になるグレース・ケリーに受賞させたい政界及び映画界とカムバックを賭けた“アメリカの恋人”ジュディの一騎討ちであり、残念ながら他の3人目は存在しませんでした。『波止場』を製作したコロンビア映画は最初からこのレースから降りたのかも知れません。
ちなみに、この年のアカデミー賞で助演女優賞にノミネートされたのが
☆エヴァ・マリー・セイント(コロンビア映画『波止場』)
×ニナ・フォック(MGM映画『重役室』)
×ケティ・フラード(FOX映画『折れた槍』)
×ジャン・スターリング(ワーナー映画『紅の翼』)
×クレア・トレヴァー(ワーナー映画『紅の翼』)
主演女優賞に対して助演女優賞は共演から助演を経て脇役まで広範囲に含まれます。『重役室』のニナ・フォックはキャストのビリングは10番目の本当の脇役でしたが、上手い人だなぁ〜と感心してしまうレベルでしたが、ただ出演場面も多くて圧倒的存在感の主演女優エヴァ・マリーさんには敵わなかったのですね。まあ、アカデミー賞の賞はショー(SHOW)なので上記の様に映画会社の配分にもある程度バランスが取れていた訳です。今日まで私はお腹の大きなエヴァ・マリーさんに目を奪われ、主演女優賞だと錯覚してきただけの話なのですが、ちょっと取り上げてみました。
エヴァ・マリーさんの映画で『波止場』以外に観た作品は
『愛情の花咲く樹』(1957)
『いそしぎ』(1965)
『グラン・プリ』(1967)
等がありますが、記憶に残った作品はスリラー映画の巨匠アルフレッド・ヒッチコック監督の『北北西に進路を取れ』(1959)だけです。
ヒッチコック監督の評伝を読むと、ヒッチコック監督はモナコ王妃となってしまったグレース・ケリー喪失をずっと引きずっており、グレース・ケリーの様な美しいブロンドの髪、透き通る様な白い肌、スレンダーなクール・ビューティーな女優さんを探し続けていました。
製作会社のMGMはダンサーのシド・チャリスを推薦してきましたが、ヒッチコック監督自身がエヴァ・マリーさんを、衣裳からアクセサリーからヘアスタイルに至るまで彼女に似合いそうな全てを選んだそうです。
今日ではサスペンス映画の最高傑作、アルフレッド・ヒッチコック監督の、主演のケイリー・グラントの、そしてエヴァ・マリー・セイントさんの代表作として映画史に残されています。
いつまでもお元気で活躍して頂きたいですね。
天野 俊哉
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