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Vol.1824 SKDスタス・レヴュー『2021春の踊り』
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1930年代から1982年まで半世紀に渡って浅草の国際劇場を本拠地に東京名物として人気の高かった松竹歌劇団(SKD)のレヴュー公演。現在ではかつてのメンバーの皆さんが音頭を取りSKDスタスとして活動を続けております。数年前までは『東京リズム劇場』でご一緒した日下部美雪さん、西村麻亜沙さんがレギュラー出演されてましたが、現在は市川教室で私の生徒だった郡司聡美さんが〜海斗レイ〜の芸名で男役として活躍しております。浅草の遊園地、花やしきの中にある浅草花劇場で年に3回レヴュー公演を行っておりますが、コロナのせいで1年半ぶりの上演となってしまいました。3回目の緊急事態宣言発令が私のうかがった翌日からでしたのでSKDスタス公演には影響が出なかったのは本当にラッキーでした。
久々の浅草散策をしながら劇場に向かいましたがかつてSKDスタス公演がある時期は浅草の昔ながらのお店がその店先にレヴュー公演のチラシやポスターを貼って町で盛り上げよう!みたいなパワーを感じたものですが今回は全く見ることが無くてさみしかったです。皆さんそんな余裕が無くなってしまったのですね。それでも花やしき通りに入るや雰囲気は一気に昭和に戻ってしまうのは奇跡。
今回の公演ではソーシャル・ディスタンスの為、客席を減らして初の指定席だったのですがチケットを用意して下さった方が前から2列目のドセンターを。まあ出てくる皆さんの視線、目線の多くが私に向けられて緊張しました。マスクをしてなかったら表情を作らなければならなかったかも?いやあ、参りました。私より前の席の方々はフェース・シールドをされていたのですが、その格好で舞台を眺めている姿がかなり笑えました!宇宙人みたいで。笑ってはいけないんだけども。それからSKDならではのスターやご贔屓さんへの掛け声も禁止になってました。上手い具合に入る掛け声の無いSKDスタス公演はちとさみしい。
今回の公演は、元SKDの芹なづなさん、振付も担当されてる榛名珠利さんをはじめ若手15名の計17名、内男役さんは4名という構成です。幕開きは、五穀豊穣を願って舞う榛名珠利さんと8人の娘役さんによる三番叟の踊りから着物を見事に着こなした六段の調べ。女役のひとり、日高理恵さんの目元が往年の和服美人、三浦布美子さんにそっくりで驚きました。ポップなメロディーにのせて瀬戸美月さんにからむ3人のイケメン。私も着たことのあるゴールドのサテン・シャツですが?男役の皆さんの着こなし最高っす。あきみ祥子さんの振付はあくまで男役さんの動きを抑えて女性の魅力を最大限に引き出して成功していると思いました。続く娘役さん5人による怪しいファンキーなダンスはひとりひとりの目線が私の席に向かってバシバシ来るので目のやり場に困りました。だから後ろの方に座りたかったのに。
春風まこさんによるバレエ・ソロはダイナミックな魅力。榛名珠利さんら3人の男役さんと3人の娘役さんによる“ザッツ・ライフ”のナンバーでは黒のジャケットを着た〜海斗レイ〜さんのホストを思わせる危ない所作に釘付け。
貴女は本当に女の子?
芹なづなさんのソロ・ナンバー2曲はいつもなら場内から登場するスペシャルティーな扱いなのですが、今回は舞台のみでした。どちらもSKD・OGの明石薫さん、高城美輝さんの丁寧な振付が付いていましたが、改めて歌手の方の振付の大切さを学ばせて頂きました。
パリのナンバーではバレエ・ソロを踊られた長身の春風まこさんに奈央海ゆうさん、海斗レイさんら4人の男役さんが絡むのですが香盤の関係で最後の2人はかなり若い娘役さんでした。髪型はごまかせても流石に笑顔はもろ女性なので悪いとは思いつつ笑ってしまいました。すみません!
グレン・ミラー楽団のビッグバンド・スイングの名曲“イン・ザ・ムード”と聞くと1940年代というよりも日本のあちらこちらの舞台で踊られていた1980年代を思い出します。男役さんと娘役さんのデュエット・ダンスは衣裳もクラシックだし、軽やかな振付が素敵でした。
かつてのエイトピーチェスを意識したお色気ナンバー“KISS”、男役さん4名をキザらせたナンバー、どちらも若い感覚でダンサーの皆さんも生き生きされてました。以前、大人っぽいタンゴのナンバーで振付が素晴らしい(素晴らしすぎた?)のにダンサーの皆さんにあまりフィットしていなかった事があってコラムを遠慮したことがありましたが、今回の公演には等身大の音楽、振付、衣裳を持ってきているので無理が無い様に思えました。SKD・OGの銀ひ乃でさん振付のレヴューの見せ場のライン・ダンス。本来ならレトロなアンドリュース・シスターズの“ブギウギ・ビューグル・ボーイ”もあまりに古くて逆に新鮮な音楽に感じました。
さて、レヴューには大勢のダンサーが必要不可欠ですが、令和であるのだし、コロナの時代だし、ソーシャル・ディスタンスが必要なのだし、これからは新しい形での《SKDスタス・レヴュー》を継続する事が何よりも大切だと思いました。
皆さまお疲れ様でした。
天野 俊哉
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