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OUR MASTER : 佐々木 隆子
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Vol.1795 もうすぐ生誕100年マーロン・ブランド
 私が映画を観始めた1970年代、マーロン・ブランドは『ゴッドファーザー』で有名なハリウッドの大スターでした。中学生だった私はマーロンのどこがどう大スターなのかを知りたくてテレビで放送されるマーロンの主演作品を片っ端から追いかけたものです。

 デビュー当時のマーロンは皮ジャンやTシャツ姿の不良のイメージで、それまでの背広姿の大人っぽいハリウッド・スターを一気に過去のものにしてしまいました。1950年代の人気スター、ポール・ニューマンやジェームス・ディーンと同じくニューヨークの演劇学校出身の筋金入り。
 ただ、私は映画界におけるマーロンの全盛期は1950年代の前半までだと思っています。つまりデビュー作品の『男たち』『欲望という名の電車』『乱暴者』を経てアカデミー主演男優賞を受賞した『波止場』まで。
 ここまででハリウッドを代表する大スターに登り詰めてしまいました。マーロンにとってラッキーだったのはフレッド・ジンネマン監督、エリア・カザン監督の演出に出会えたことです。
 あくまでヴィヴィアン・リーが主役の『欲望という名の電車』で、強いインパクトを残したのはマーロンの方でした。また、暴力描写のイメージが強い『波止場』ですが、マーロンと兄役を演じたロッド・スタイガーの車の中でのやり取りの素晴らしさがいまだに鮮明に記憶に残っています。残念なのは『波止場』の後のマーロンは『ゴッドファーザー』までの20年間、月並みな作品に主演し続けた事です。

 月並みではないのにいささか奇抜なのが日本を舞台にした2本の作品。『八月十五夜の茶屋』では沖縄に駐屯するアメリカ軍の通訳サキニ役をひょうひょうと演じました。マーロンの主演作品の中でも最大のヒット作品となった『サヨナラ』では日本に駐屯するアメリカ空軍の兵隊役。関西にある少女歌劇団のトップスターと恋をする話ですが、マーロンと相手役の高美以子さんのカップルよりも助演格のレッド・バトンズとミヨシ梅木さんの夫婦役の方がはるかに魅力的でしたし、正真正銘のアメリカ人のリカルド・モンタルバンが《中村》という日本人の歌舞伎役者を見事に演じているので、マーロンの場面だけがダレてみえるのです。
 マーロンが名優にして名監督チャールズ・チャップリンの『伯爵夫人』に主演した時も相手役のソフィア・ローレンのが光ってました。マーロンの演技へのこだわりがチャップリン演出を受け入れなかった!とも言われています。ハリウッドの隠れた名監督のひとり、エドワード・ドミトリク監督の戦争映画『若き獅子たち』でナチスの将校を演じたマーロンは作品を引き立てており、最後の場面が忘れられません。

 さて、若き日のマーロンがまさかのミュージカル映画経験をしたのがブロードウェイ・ミュージカルの映画化『野郎どもと女たち』です。ジーン・シモンズ、フランク・シナトラ、ヴィヴィアン・ブレーンが共演した名作のひとつですが、私はテレビの深夜劇場で150分を越えるこの大作ミュージカルを半分の70分にカットされたものを観たのものです。
 信じられないでしょ?
 これ、本当の話なんですよ。
 現在でもブロードウェイや宝塚歌劇団で上演されている『野郎どもと女たち』ですが、マーロンが主役を演じたハリウッド版に登場する恋人たちのバラード“ウーマン・イン・ラブ”は私の大のお気に入りです。そう、舞台には出てこないロマンティックな曲ですね。マーロンと相手役ジーン・シモンズがハバナの酒場で踊りまくるナンバー、下水道でのサイコロ賭博場でマーロンが歌って、男性ダンサーズが踊る“ラック・ビ・ア・レディ”のナンバー等はマイケル・キッドの振り付けが素晴らしくて何度見ても楽しめます。ミュージカルもこなしてしまうマーロンには感心したものです。

 最近では先の『ゴッドファーザー』くらいしかテレビで放送されないのは残念ですね。今回はハリウッドを代表する大スター、マーロン・ブランドを取り上げました。

天野 俊哉



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