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Vol.1784 宝塚月組公演(2020年12月)
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11月最後の日、宝塚ファンの誰もがぶったまげる、そして宝塚ファン以外には全く興味が無いであろう出来事がありました。宙組の現役トップ娘役星風まどかさんがまさかの専科入り、もしかしたら左遷か?彼女の替わりに宙組のトップ娘役にさせられる潤花さんの心中も察します。ストレスに押し潰されずに活躍して頂きたい。
そして綺麗なクリスマス・ソングが流れる12月になり、今年最後の宝塚観劇に東京宝塚劇場まで出掛けました。この日はすでに退団発表をした珠城りょうさんと美園さくらさん率いる月組公演。
“JAPAN TRADITIONAL REVUE”なる畏れ多い冠がついた和物レヴュー『WELCOME TO TAKARAZUKA-雪と月と花と-』。作・演出が宝塚歌劇団の大御所の植田紳爾氏、しかも監修が歌舞伎界から大御所の坂東玉三郎氏と来れば予算、特に衣裳代と装置代使いまくりの見事な作品でした。ただ、少しばかりうるさい事を言いますと今回の《坂東玉三郎氏の監修》とはどの様な助言をされたのかも知りたいと思いました。というのも私は演出の植田氏が玉三郎氏の助言を必ずしも必要としているとは思えないからです。
もしかして、話題作り?
タイトルが横文字だったり、歌劇団の5組の内の3組の名称〜雪と月と花〜が入っていたりモダンな感覚がよろしいかな?
使用している音楽も
ビバルディの“四季”
ベートーベンのピアノソナタ“月光”
チャイコフスキーの“花のワルツ”
等西洋のクラシックでした。出来ることならこれら名曲を生のオーケストラ演奏で体感したかったですね。
長年宝塚歌劇団に、専科に在籍されている松本悠里さんがこの公演で退団されます。赤の振り袖の衣裳で舞台中央よりセリ上がって絵になる人なんて松本悠里さんだけです。最後の舞いだなんて残念です。また、この作品の上演中に装置スタッフの先生と日舞振付の先生が亡くなられたそうです。演出の植田氏ら専門のスタッフさんもご高齢になるし、衣裳にお金がかかるのと、年々日舞と縁の無い生徒が増えて行く中で今後この様な和ものレヴューが製作されるかは未知数だと思いますが、私は宝塚の舞台で繰り広げられる和服でのレヴューが大好きなのでぜひ継続して頂きたいです。
45分間の豪華絢爛な和物レヴューをたっぷり楽しんだあと35分の休憩を挟んで作・演出/原田諒氏による『ミュージカル ピガール狂騒曲〜シェイクスピア原作「十二夜」より〜』。タイトルがやたら長い。
宝塚では今まで何度もシェイクスピアの原作を取り上げてきましたが、この『十二夜』はいかにも宝塚向きの題材だと思います。20世紀初頭のバリを舞台にした事で華やかなに宝塚向きに、もちろん衣裳代の節約も計算済みか?役柄も多いので月組の主要キャストに役がゆきわたり、その才能をいかんなく発揮できた様です。上演時間も105分なのでフィナーレのショー場面にかけるボリュームもなかなかでした。ドラマの部分の振付は劇的な構成に強い麻咲梨乃氏。今回はムーラン・ルージュの“フレンチ・カンカン”も担当してショー・ナンバーもかなりこなせる方だなぁ〜と感心しました。
フィナーレの構成は以下の通り。
A.“赤い風車”暁千星さん
B.“パリ・カナイユ”娘役達のロケット(AB振付/百花沙里氏)
C.“パリ・ジュテーム”珠城さんと娘役達
D.“オートバイの男”珠城さんと男役達の黒燕尾ダンス
E.“メ・マン”珠城さんと美園さんのデュエット・ダンス(CDE振付/羽山紀代美氏)
F.パレード(F振付/AYAKO氏)
羽山紀代美氏の宝塚振りをたっぷり見せて頂き感激しました。黒燕尾服のダンスに加え大階段で珠城さんを囲んだ娘役達のスカートさばきの色気ある振りも近年見れなくなりました。期待の百花沙里氏のロケットと若手のAYAKO氏が担当したパレードが私にはピンと来なかったのが残念。改めて宝塚の振付は難しいなと思いました。
久々に劇場で珠城りょうさんを拝見して文句なしの男役さんに成長したのが嬉しく思いました。美園さくらさんもお芝居の元気さが生き生きしてました。そして次期トップ就任を誰もが願う月城かなとさんの演技は説得力があり感動しました。ダンスの上手い暁千星さんですが、かつてのOKさんの様に味気無いトップにならないよう、劇団側も時間をかけて大切に育てて欲しいと願います。
最初に述べたように宝塚の劇団側の理不尽さは歌劇団の生徒やファンを裏切る事が多いので、この月組公演に対しても観客の皆さんは様々な感じ方をしたのではないでしょうか?
2020年最後の宝塚観劇楽しませて頂きました。
天野 俊哉
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