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OUR MASTER : 佐々木 隆子
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Vol.1773 中山美穂さん
 女優で歌手の中山美穂さんが今年でデビュー35周年と聞いてスマホを手に取りました。

 もう時効だと思いますし、もちろん中山さんには罪もなく芸能界には昔からよくある政治的な出来事話なので、熱烈なミポリンファンの方はどうか心穏やかにお読みくださいね。

 それは1986年か1987年の夏前の話ですが、当時物凄く人気のあった中山美穂さんの全国コンサートにタップダンスを、という企画が佐々木隆子先生のもとに。中山さんを中心に4人の女の子がタップを踏むとの事、スタジオから2人と私の中学生の生徒を2人選んでコンサートに参加させる事になりました。
 近々隆子先生のニューヨーク修行旅行が予定されていたので指導には佐藤昇先生が、頼もしい助っ人であります。佐々木スタジオで芸能人の指導と言えば佐藤先生なら間違いなし!との事から汀夏子さん、大場久美子さん、明石家さんまさんら大スターを、中には加山雄三さんみたいな厄介な大スターも担当されました。
 振付当日、都内の某スタジオに佐々木隆子先生、佐藤昇先生、4人の女子、そしてマネージャー役の天野の7人で乗り込みました。隣のリハーサル・スタジオからは中山さんが歌う“色・ホワイトブレンド”が聴こえてきます。早くも一緒に歌を口ずさむ女子たち。私は竹内まりやさんの歌で聴き慣れていたせいか?何か悪い予感がしました。ホントに。
 そしていよいよご対面。
 その場で振付をしてゆく隆子先生のやり方に中山さんも4人の女子もてんてこ舞いでした。こんなときマネージャー役は黙って見ていれば良かったのでしょうが時間内で終わらせるために助っ人に入ったものです。
 すっかりプロフェッショナルな中山さんに若すぎる印象でしたが「中々フレッシュでイイネ」とコンサートのスタッフさん受けも良く、隆子先生はニューヨークに旅立ちました。

 佐藤先生を中心に稽古が進められていたある日私に1本の電話が入りました。
 「コンサートからタップダンスの場面と4人のダンサーがカットされる事になりました」との内容でした。
 あんなに一人ひとりに電話をするのが辛かった事はありませんでした。彼女達の多くは「学校の友達に話してしまったから!」ガッカリという物ばかり。なるほど。
 隆子先生には国際電話で伝え、隆子先生がこんなときの為に契約していた吉本興業のマネージャーに後の処理(違約金とか)をお願いしました。

 さて、これには呆れ返る後日談があります。隆子スタジオのアシスタントとして私に付いていた4人の女子のひとりが何と中山美穂さんのそのコンサートを観に行ってきた!そうで、彼女が言うには「私達が踊るはずだった場面もあり、タップダンサーも出てきた」との事。「ダンサーは凄く垢抜けていてキレイな女性」でも「タップは下手だった!」と。さらに怒りは続いて「あれは中山さんが私達を外したに違いない!」と。まあよくある話なのでこちらは気にしなかったのですが、多感な年頃の彼女達にしてみたら大変な事だったでしょうからね。

 帰国後の隆子先生とこのコンサートを話題にした事はありません。

天野 俊哉



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