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Vol.1763 宝塚花組公演『はいからさんが通る』
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大和和紀さん原作の人気漫画の舞台版。大和和紀さんと言えば20年も前に『源氏物語』をベースにした『あさきゆめみし』が、同じく宝塚歌劇で舞台化された時は原作の漫画本を全巻読みきったものですが、今回は原作本はおろか南野陽子さん主演の有名な映画版すら観ておりませんので、全く予習無しでの着席になりました。
さて小柳奈穂子脚本・演出の『ミュージカル浪漫/はいからさんが通る』は明日海りおさんに継ぐ花組トップスター柚香光さんとトップ娘役華優希さんのお披露目公演として
兵庫・宝塚大劇場
3月13日から4月20日
東京宝塚劇場
5月8日から6月14日
で上演が予定されてましたが兵庫では殆どが、東京では全公演が上演中止になるという前代未聞の事態になってしまいました。
兵庫では7月に再開されたのちも数日間の上演中止になったり苦戦を強いられましたが、10月9日から11月15日にスケジュールを組まれた東京公演は今のところ順調に進んでおります。私は10月下旬、平日の昼間の観劇でした。
大正時代を背景に、青年少将と女学生の恋愛を明るく描いた作品。先ずは真の主人公である女学生、花村紅緒役の華優希さんは多分実年齢も同じ位であることからまさに適役であり、大和和紀さんの漫画のイメージに限り無く近いのではないでしょうか。歌の上手い音くり寿さんが演じる北小路環役、やや古風な音さんの風貌が大正時代の華族の雰囲気にあっていて嫌味がなく良かったです。艶のある芸者役で女の魅力を見せた朝月希和さんは花野じゅりあさんに代わる花女のリーダーになれると期待していた矢先、またまた雪組に戻りトップ娘役とは、宝塚ファンとしては何となく残念な流れになってしまいました。
ただ、私のように古い花組通にとっては安寿ミラさん、真矢みきさん、愛華みれさん時代の脇までスターだらけだった花女全盛時代が懐かしすぎる。
最近、再び男役スターが揃ってきた花組にとってこの『はいからさんが通る』はピッタリの題材だと思いました。トップになるまではどうなるんだろう?と勝手に負の推測をしてきた柚香光さんに軍服姿が似合う伊集院忍はピッタリすぎる役柄。女嫌いの青江冬星というお笑いキャラを演じた瀬戸かずやさんのルックスが柚香さんと良いバランスで、2番手として瀬戸さんを配置した理由がはっきり分かりました。荒くれものの軍人鬼島森吾役の水美舞斗さんは、ワイルドなキャラで新境地を開いてはいたのですが、出番の少なさと軍服を脱いでからの衣裳に難点が。宝塚スターとして育てるのならばもう少し演出家が考えなければ。
逆に水美さんより下級生で新しく花組に来た永久輝せあさん(高屋敷要役)の方が筋に、そして花組に溶け込める様に気が遣われている様に感じました。本来の主人公の紅緒とのツーショットが多くて徳をしたのが歌舞伎の女形藤枝蘭丸を演じた聖乃あすかさんは私も今回初めて注目しました。
魅力的なキャラクターが多くてカラフルな衣裳が楽しい『はいからさんが通る』でしたので「ミュージカルとしてどうだったのか?」と聞かれても困るのですね。やはりオープニングに全キャストが出演して有名な“はいからさんが〜”の主題歌を歌い踊るナンバーが印象に残る程度でした。
フィナーレは5曲で、スーツを着た瀬戸かずやさんの歌から、大正ファッションに身を包んだ娘役達のナンバー、和服をアレンジしたショーガール風な衣裳を着たさらに若手の娘役達のラインダンス、黒燕尾服を着た男役がズラッと並んだタンゴの踊り、そして柚香光さんと華優希さんのデュエット・ダンス。どれも見応えありました。
男役の黒燕尾ナンバーでは途中でトップの柚香さんが下手にフェード・アウトしたあとも瀬戸さんを中心に踊りが続くのですが、全員のポーズからフェードアウトする時、ピンスポットが瀬戸さんを袖まで追い続けるのには驚きました。雪組から移ってきた永久輝さんは早くも花組に溶け込めた様で私は全く彼女を追えませんでした!
グランド・フィナーレは役柄に合わせてシャンシャンの代わりにある人は花束だったり、竹刀だったり、サーベルだったり、書物だったり、それぞれの演技や役柄を再確認出来るたいへん気のきいた演出になっていました。
柚香光さん率いる宝塚歌劇団花組の今後に大いに期待したいと思います!
写真 上から
公演ポスター
実写版映画ポスター(1987年)。モデルとして大人気だった阿部寛さんの俳優デビュー作
講談社漫画文庫版全4巻(1995年)
講談社コミックス デザート(新装)版全8巻(2016年)
劇場版アニメ(前編2017年、後編2018年)
天野 俊哉
《はいからさんが通るトリビア》
・1975年7号から1977年10号まで、週刊少女フレンド(講談社)に連載された。
・1978年6月3日から1979年3月31日まで、テレビ朝日系列でテレビアニメ全42話が放送された。
・1979年4月7日から1980年8月30日まで、関西テレビで『宝塚テレビロマン・はいからさんが通る』として
連続ドラマ化され、花村紅緒役に花鳥いつきさん×伊集院忍役に平みちさんを始め、宝塚歌劇団の生徒が
キャストに起用された。
・1985年(フジテレビ)と2002年(TBS)に単発ドラマ化された。
フジテレビ版は三田寛子さん×野口五郎さん。TBS版は石川梨華さん(モーニング娘。)×沢村一樹さん。
・阿部寛さんは、この映画への出演オファーがなければ、モデルを辞めてサラリーマンになるつもりだった。
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