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Vol.1742 2020宝塚星組公演(DVDでの鑑賞)
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※ネタバレ的な表記がありますので、これからご鑑賞を考えられている方はご注意ください。
7月より兵庫の宝塚大劇場と東京の東京宝塚劇場で再開された宝塚歌劇ですが再び休演期間があったり順調とは行かず本当に残念な事です。感染対策として、出演人数を減らしたり、演出を変えたり、オーケストラ演奏を録音に変えたり、客席の販売も半分にしたり大変な状態です。私程度の宝塚ファンではチケットが入手出来るはずもなく、夏に東京で上演されている星組公演は市販のDVDでの観賞に切り替えました。
幻想歌舞録
『眩耀の谷〜舞い降りた新星〜』
作・演出/謝珠栄
長らく宝塚歌劇の巨匠柴田先生作品の演出担当をつとめてきた振付師である謝珠栄氏の大劇場デビュー作品。かなり遅いデビューという気はしなくもないですが。全体に細かく踊りというか舞いが入るのですが、例えば前の方で台詞を言ってる時に後ろで複数が舞うのは視覚的に邪魔な時もありました。しかし題名に《歌舞録》とあるのだから仕方ないのかな?と諦めました。
紅ゆずるさんに次いでいよいよ星組トップスターとなった礼真琴さんとトップ娘役舞空瞳さんのお披露目作品。礼さん演じる人間くさい兵士の役はフレッシュで勢いがあり好感度の高い役柄となりました。
謝珠栄氏を宝塚の座付き作家として見た時に、オリジナルなのだから舞空瞳さんを目が見えない役柄にしなくても良かったのでは?と思いましたし、この公演から星組の2番手男役になった愛月ひかるさん、この公演で退団する華形ひかるさんが終盤から全く登場しなくなるあたりはかなりの減点かもしれませんね。
中国の話の難しい部分を有紗瞳さんに語り部として説明を入れたのは成功しています。テンポよく語り部が登場するので私達の『東京リズム劇場』の《タップ名作劇場》の語り部を思い出してしまいました。
中国武術や殺陣(たて)の指導スタッフを充実させたことで兵士達が踊りに加えて、剣や槍を使ったアクションで男っぽく見せてくれ見栄えがしました。多分、ファンの間では賛否が別れるであろうラストの《新天地に逃げて行く》民族の大移動の様な演出も私は好きでした。さて、お芝居が重い分後半のショーが最高の気分転換になるのですね。
Show Stars
『RAY〜星の光線〜』
作・演出/中村一徳
タイトルに新トップスターの名前である礼(RAY)を持ってくるあたりにセンスの良さを感じます。作品全般に登場する映像処理も新しい演出だし、最後に緞帳が降りた後に映し出されるのが礼真琴さんの瞳というのもお披露目っぽくて素敵な演出だと思いました。
さて、中村一徳氏はメインやスター路線の人だけでなく意外な人にスポットを当てたりするキャスティングに魅力がある反面、振付師のセレクトと配置には相変わらず?マークのオンパレードであります。
今回の振付師は以下の通り。
KAZUMI-BOY
Bryant Baldwin
平澤智
西川卓
御織ゆみ乃
前半の中詰から中詰後のラインダンスまでが4名の男性振付師がガッツリ担当しております。振り数が多くて、手話の様な手の振りの連続、そして何と言っても男性振付師の強さが全面に出すぎていてダンス本来が持つ優雅さとか美しさとかけ離れている様にも感じました。例えばKAZUMI-BOY氏のナンバーの次には女性の振付師を一人入れてから再び男性のBryant Baldwinという強弱があれば観ているこちらもリラックス出来るのですね。あまりに同じような男性的なナンバーが続くので記憶にも残らないのが残念。
とは言えこのショーを劇場で観ることが出来ないのは凄く残念です。歌唱力とダンスの抜群な礼真琴さんを中心とした若い星組にはぴったりのショーだからです。
タンゴの名曲“ラ・クンパルシータ”を新しい解釈で振付して踊らせたり、ガーシュインの名曲“サマータイム”をゴスペルのアレンジで、しかも衣裳はスーツというのも面白い。
まだオリンピックが2020夏に開催予定だったオリンピア・ナンバーもタイムリーな演出でした。
若い男役さんが上手から歌いながら銀矯を渡り、入れ替わりで下手から別の若い男役さんが歌いながら銀矯を渡るのは新しい演出で素敵でした。
逆に唖然としたのが中村氏お得意のトップ娘役さんのフィナーレのジャズナンバーが成功していない。特にバックで踊る男役さんと娘役さんのペアの振付が酷すぎる!
フィナーレに登場する礼さんと舞空さんのトップ・コンビによる“星のセレナーデ”のデュエット・ダンスは御織ゆみ乃氏の振付なので美しくホッとして見てられました。礼さんが相手役をとても大切にしているのが分かり微笑ましかったです。
ショーの半ばで礼さんが客席に下りて場内を回る時、明るくなった場内の観客の7割位?が白いマスクをしているのは流石にビックリして巻き戻してもう一度見てしまいました。DVDの収録が2月21日とのこと。感染がじわじわ拡がり始めた時期だからマスク姿は当然ですが、宝塚歌劇の観客のマスク姿ってやっぱり不思議な感じがしてしまって。いまでは当たり前の光景になりました。
以上DVDでの鑑賞でした。
天野 俊哉
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