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Vol.1725 もうすぐ生誕100年アン・ジェフリーズ〜ミュージカル好きのオペレッタ歌手
 アン・ジェフリーズはつい最近2017年に亡くなったアメリカのミュージカル女優です。オペレッタ歌手だったのにミュージカルのが楽しいから、とミュージカル女優に転向してしまった変わり種。ただしハリウッド映画界では成功せず、ブロードウェイ・ミュージカルの名作『キス・ミー・ケイト』で主演のパトリシア・モリスンの代役で評判になりました。それ以外の活躍は知りません。私はアンのミュージカル映画を2本しか観てません。悪しからず。

『芸人ホテル』(1944)
 ジョージ・アボットの演出により1937年にブロードウェイで大ヒットを記録したのがコメディ『ルーム・サービス』。RKO映画が権利を買い人気コメディ・チームのマルクス兄弟主演で映画化しました。それまではチコ、ハーポ、グルーチョの3兄弟が映画の世界で大暴れするアナーキーな世界が人気だったのですが、舞台用に書かれたセリフに手も足も出ない有り様で気の毒なマルクス兄弟。チコお得意のピアノ演奏も、ハーポお得意のハープ演奏も、グルーチョを活かしたミュージカル・ナンバーも存在しないのはさみしかったです。しかもコメディ・センス抜群のルシル・ボールも、素晴らしいタップ・ダンサーのアン・ミラーもただ出演しているだけ!という酷い扱いでした。
 そのわずか6年後の1944年にRKO映画はトミー・ドーシー楽団から独立したばかりの人気歌手フランク・シナトラの主演作品として『ルーム・サービス』をミュージカル映画化しました。タイトルも『芸人ホテル』と変え、マルクス兄弟での失敗を繰り返さない為にキャストを強化。マルクス3兄弟のポジションに喋りの上手いタップ・ダンサーのジョージ・マーフィ、ラジオの人気お笑いコンビのウォリー・ブラウン&アラン・カーニー。ドラマの部分をハリウッド映画の名脇役であるアドルフ・マンジュウ、ウォルター・スレザク、ユージン・ポレットで固めました。そしてミュージカル・ナンバーには踊りのジョージ・マーフィとロザリー・ミラー、歌のフランク・シナトラとグロリア・デ・ヘヴン、そして我らがアン・ジェフリーズ。この11人の華やかな顔ぶれが90分暴れまくる『芸人ホテル』は実に楽しい作品でした。ブロードウェイ・ミュージカルに資金を出すユージン・ポレットをパトロンに持つ歌手の卵がアンの役。まだ21歳位のアンなのにお色気が先行して、9つも年上のフランク・シナトラをもてあそびます。狭い電話ボックスの中でアンとシナトラが歌う“Where Does Love Begin”は楽しいデュエット・ナンバー。ジュール・スタインとサミー・カーンの音楽コンビのメロディが作品を際立たせました。残念ながらヒロインはわざわざMGMから借りてきた人気スターのグロリア・デ・ヘヴンですのでアンの見せ場は最後のショーのオープニング・ナンバーだけ。女性コーラスを従えたアンのソロが栄えました。初めてこの映画を観たのは40年前にハリウッドでのテレビ映画劇場でした。午前3時くらいから始まり沢山のコマーシャルとまさかのニュースが映画の間に入って終わった時には夜が明けてました。今となっては懐かしい想いでです。

『ブロードウェイのゾンビ』(1945)日本未公開
 『芸人ホテル』でお笑いを担当したウォリー・ブラウン&アラン・カーニーのコンビとアンが主演したRKOの低予算コメディ。
 ホラー映画の名士ベラ・ルゴシを招いたホラー・コメディの傑作です。
 『芸人ホテル』ではいまいち活かされなかったブラウン&カーニーの本領も発揮、しかもこれにアンが加わって70分トリオで大活躍するのです。
 この頃のゾンビは私達が知っているゾンビとはまるで違うキャラクターで全く怖くありません。その馬鹿馬鹿しさが逆に笑わせてくれます。
 『ブロードウェイのゾンビ』は、書店で売られているコズミック出版のDVD BOX『ゾンビ映画10枚組』に収録されてます。興味のある方は、無いですね。

 今回はアン・ジェフリーズを取り上げました。

天野 俊哉



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