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Vol.1708 大林宣彦監督追悼にかえて
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皆さまいかがお過ごしでしょうか?
天野は在宅自粛で大人しく生活しております。週に何回かは地元のフラメンコ・スタジオで無観客レッスンをしておりますが。普段週に100名の生徒さんに指導しているダンスをひたすら2時間踊り続ける、というストイックな内容です。忘れっぽいのでね。もちろん淺野康子さんが振付してくれた『NTD2020』のY'sナンバーもしっかり踊っておりますよ。
緊急事態宣言が出された週末に『ハウス』『ねらわれた学園』『転校生』『時をかける少女』の大林宣彦監督が亡くなりました。大林監督の話題作が劇場公開されていたのが自分の学生時代と重なっていたのですが、不思議と大林監督作品の多くを観てません。
それでもつい最近テレビで放映された『時をかける少女』とDVDで『ハウス』を観たのは大林監督からの私への何かのメッセージだったのかも知れません。実はこれだけで《大林宣彦監督追悼》なんて書けませんのでちょいと脱線を。
古い話になりますがハリウッドのミュージカル映画が日本で全く観ることの出来なかった1980年頃、アメリカから16oフィルムを購入して私達ミュージカル・ファンを集めて観せてくれていたのが三浦秀一なる人物。三浦氏は中川三郎先生のお弟子さん、タップ・ダンサー、振付師、映像専門学校の講師、映画コレクターなど様々な顔を持った方で私にとってはミュージカル映画の先生でした。私はまだ18歳の浪人生でしたが、二子玉川のお住まいにお招き頂いて何時間もミュージカル談話に耳を傾けたものです。三浦氏はあまりご自分の仕事には触れませんでしたが1度だけ三浦氏が振付をされたテレビCMのフィルムを映写機にかけて観せていただきました。宝石箱というアイスクリームのCMで宝塚歌劇団の大地真央さんが出てました。これを担当したのが大林宣彦監督で、同じく映画監督の高林陽一氏もスタッフだったと記憶してます。三浦氏はご自分の16oフィルムのコレクションを2つのミュージカル・ファンのグループに観せていました。ひとつは宝石箱の仕事で知り合った大林宣彦監督、高林陽一監督、大林監督のお嬢さん、大林監督のブレーンの方々。そしてもうひとつが18歳の私、渋谷のレコード店すみやの初代店長だった井上氏、『ミュージカル映画事典』(平凡社2016)の筆者の重木昭信氏でした。今考えると皆さまその道の名士ばかりでずぶの素人は私だけ。しかも浪人生でしたから。
同じ時期に同じミュージカル映画を観ていた訳ですから大林監督グループが例えばフレッド・アステアの『踊るニュウヨーク』を、ビング・クロスビーとフレッド・アステアの『スイング・ホテル』を観ながらどんな風に盛り上がっていたかを色々話して下さいましたが、残念ながら全部忘れました。煙草を吸いながら嬉しそうに語る三浦氏の姿が懐かしい。
大林宣彦監督は生前何冊もの本を出版しており、私は肝心の映画は数本しか観ていないのに本の方はほとんど読んでます。もうどの本だったかは忘れましたが三浦氏とのミュージカル映画会を取り上げたものもありました。近年発売されたものには高価すぎて書店で立ち読みしか出来ない大林宣彦監督がご自分の好きな映画をズラッと並べて語る『いつか見た映画館』(七つ森書館)という豪華な本には先の『踊るニュウヨーク』と『スイング・ホテル』についても書かれており、そう言えば三浦氏もそんな風に話していたなぁ〜と懐かしくなりました。
在宅自粛の退屈な日々を使って大林宣彦監督の追悼上映会を開催しなければいけませんね。
大林宣彦監督のご冥福をお祈りいたします。
天野 俊哉
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