TAP DANCE LOGO
INSTRUCTORS
STUDIO : 戸塚スタジオ
NETWORK
SCHEDULE
EVENTS
COLUMNS
DANCE TEAMS
LINKS
OUR MASTER : 佐々木 隆子
COLUMNS

Vol.1692 宝塚歌劇宙組公演(2020年1月)
 2020年お正月の宝塚歌劇は真風涼帆さん率いる宙組公演からスタートです。
 大野拓史作・演出
 『宝塚ミュージカル・ロマン/イスパニアのサムライ
 EL JAPON』

 藤井大介作・演出
 『ショー・トゥー・クール/アクアヴィーテ〜生命の水〜』
 何よりもお芝居とショーの二本立てなのが嬉しいです。今年のラインナップを見ると半数以上が一本物の公演なのですよ。予算削減でしょうか。

 さて、お芝居担当の大野拓史氏は日本もの、特に時代劇を創らせたら宝塚一実力を持っている方、だと私は思っています。よって相当創り込んでいるに違いない!と信じ『歌劇』誌の演出家と出演メンバーによる座談会コーナーやイスパニアの歴史コーナー、さらには最近めっきり買わなくなった公演プログラムまでじっくり読み込んで着席をしたのですが、重みとかあまり関係無い作品に仕上がった様で、かなり気軽に楽しませて頂いちゃいました。その昔、テレンス・ヤング監督の『レッド・サン』という映画があってアメリカ人のチャールズ・ブロンソン、フランス人のアラン・ドロン、日本人の三船敏郎が主役でした。
 メチャクチャでしょ?
 彼等か何語を喋っていたのか?全く記憶にございませんが、最期はピストルと刀が闘って誰かが死ぬ!という荒唐無稽なところが今回の『イスパニアのサムライ』そのものでしたね。「マカロニ・ウェスタンを意識してます」なんて演出家のコメントもありましたが間違いなく『レッド・サン』ですよ、これは。
 真面目に演技しているトップ・コンビの真風涼帆さんや星風まどかさんが気の毒になる位の展開。逆に出番は少なかったのですが2番手の芹香斗亜さんのキャラが作品にピッタリ、一時代前の宝塚歌劇を思い出させてくれて懐かしかったですし凄く笑えました!そう言えば、一時代前にそんなお芝居ばかりに主演していた宝塚OGの峰さを理さんがオープニングや着物での舞踊ナンバーの振付をされてたのも何かのご縁でしょうか。

 私はこのコラムを蒲田から大宮への移動の電車の中で打っているのですが、ここで一休み、大宮駅近くのDISK UNIONに寄ったらまさかの『レッド・サン』のDVDが目の前に!手にとってみると¥1150なので即購入しました。残念ながらまだショーの感想文がありますので『レッド・サン』には退場して頂きますね。

 『COCKTAIL』『SANTE』に続く藤井大介氏お得意の《お酒シリーズ》第3弾はウィスキーをテーマにした『アクアヴィーテ』。実に良くできたショーでこれを観たいが為に2度も劇場に足を運びました。
 その理由としては
@振付スタッフのセレクトが適材適所で素敵だった事
Aスターだけでなく才能ある脇役スターを大胆に起用した事
B宝塚本来の魅力である銀矯渡りをうまく活用した事等があげられますが、兎に角理屈抜きで楽しかった!
 また、衣裳や装置にも存分にお金を掛けていました(その分お芝居の衣裳が着たきりスズメだったりセットがちゃちでしたが)。
 振付スタッフは宝塚OGの
 羽山紀代美氏
 御織ゆみ乃氏
 若央りさ氏
 ANJU氏
 百花沙里氏
 そして黒一点は外部から
 DIAMOND☆DOGSの中塚晧平氏。
 今回驚いたのがまだまだ宝塚OGとしては若手の百花沙里氏の才能でした。《オープニング》とか《中詰め》とかどちらかと言うとトップスターとほぼ全キャストが舞台上にずらーっと並んで暗転になり凄い拍手の次、実はあまり担当したくない場面をセンスの良い振付と構成で乗り切っただけでなく、私達観客に強く印象付けました。特に《中詰め》の次に本舞台に一人登場してスマートにステップを踏む和希そらさんと若手男役のダンスがイキだった。私はこの日まで和希そらさんを知らなかったのですが、他にも《野獣》の場面で2番手の芹香斗亜さんの相手役としてかなりのバレエのテクニックを見せた実羚淳さん、《タンゴ》の場面でトップ・スター真風涼帆さんとガッツリ組んだ  秋音光さんも初めて名前を覚えました。
 凄い収穫でした。
 今回、《中詰め》というショーの真ん中に用意されたのが白の衣裳で正装した男女のナンバー。昔は多かったのに近年グッと減ってしまったのが若手から中堅からトップスターまでが銀矯を歌いながら渡る場面。今回、名前の知らない若手をはじめかなりの数の方が歌いながら銀矯を渡っていました。観客席が異常に盛り上がっていました!さらにその全員にワイヤレス・マイクが付けられていたのです。そのせいもあり歌だけの人は何とハンドマイクを持って歌っていたのは今どき珍しい光景でした!思えば『東京リズム劇場』でも最後の公演では一言二言の台詞しか無い方にまでワイヤレス・マイクが付けられたのは制作サイドの思いやりが感じられて嬉しかったですねぇ。『2017年の東京リズム劇場』で岩田映子さんが穴田英明さんを誘惑する場面で色っぽく歌って評判の高かった“ウィスキーがお好きでしょ?”も登場しました。真風さんたち男役の方3人が客席に降りてきて女性客相手に歌ってました。

 トップの真風涼帆さんと宙組の皆さんにとって久々のショー作品だったようですが、スターだけでなく宙組を宝塚を支えている多くの脇役の人達までもがキラキラしたショーでした。これからのスター不足を解決する為の第一歩かも知れませんが、宝塚の制作サイドがそこに気付いてくれた事にも少しだけほっとしました。

 ああっ、もう一度観たいショーでした!

天野 俊哉



Copyright 2005 Y's Tap Dance Party. All rights reserved.