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OUR MASTER : 佐々木 隆子
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Vol.1670 女優八千草薫さん追悼
 先日初めて入ったアジアン料理の店でカレーを食べながらお店の壁に飾られている油絵を眺めていました。普通はヒマラヤやエベレストなど写真を貼ってあるのに、ここでは絵だったので何時もより念入りに眺めていたらネパール人のマスターが「1枚はカトマンドゥ、1枚はヒマラヤですよ、とても良い所なんですよ!」と奥様と一緒に嬉しそうに説明してくれました。
 女優の八千草薫さんが26歳で結婚した谷口千吉監督(山岳映画の名作『銀嶺の果て』で監督デビュー)は趣味が山登りだったので、八千草さんも自然と山登りが趣味になりました。お二人の山登りの記録が確かヒマラヤでした。そんな事を思い出していました。

 宝塚歌劇団の清楚な娘役という表現がピッタリの八千草さんですが、初期はたぬきや河童の役ばかりだったのに、それが凄く可愛くて直ぐにファンになった、と私の母がよく話していました。当時の宝塚歌劇団の理事長小林一三氏の自伝にもその公演に触れた部分がありましたね。また、宝塚歌劇団在籍のまま数々の東宝映画に出演しました。『宝塚夫人』『若い瞳』『殉愛』『雪国』『乱菊物語』などは観ましたが、若くて美人という印象ばかりが強かったのです。
 「では、女優八千草薫の代表作は?」と聞かれたら私は間違いなく『ガス人間第一号』を挙げます。
 えっ、それって怪獣映画じゃん?
 皆さまぶちギレのお顔が目に浮かびます。
 八千草薫さんのご主人、谷口千吉監督の助監督時代の仲間である本多猪四郎監督が作り上げたSFロマン巨編であり、踊りのお師匠さんを演じた八千草さんの凛とした姿がこの世の者とは思えない位美しいのです。もうガス人間なんて脇役です。

 八千草さんがマドンナを演じた『男はつらいよ・寅次郎夢枕』で渥美清さんが格好よく愛のキューピットをかってでて幼馴染みの八千草さんをデートに連れ出す場面は、葛飾区柴又界隈ではなく江東区の亀戸天神です。八千草さんの追悼ニュースでもよく流れた場面ですね。八千草さんが寅さんに愛の告白をして寅さんが腰を抜かしてしまう爆笑場面なのに、観るたびに何故かボロボロ涙が出てきてしまいます。八千草さんらしい控えめなしゃべり方が好きです。

 大学生の頃、八千草さんが主演というだけの理由で日比谷の劇場まで『ママの貯金』というお芝居を観に行きました。今でも当時のチラシを大切にとってあります。どんなお芝居だったのかはまるで覚えてませんが、演出の篠崎光正先生と八千草さんの長女役の大場久美子さんは後年タップダンスを通じて知り合う事になるので何かのご縁を感じる舞台であります。
 また、家の棚には八千草さんの宝塚時代の白黒写真が飾ってあるのですが、これは松本晋一さんが骨董市で見つけてわざわざ買ってきてくれたものであります。

 近年亡くなられてマスメディアにこれだけ大きく取り上げられた女優さんも珍しいですね。八千草薫さんのご冥福をお祈りいたします。

天野 俊哉



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