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Vol.1665 和田誠さん追悼
 イラストレーターで映画監督の和田誠さんが亡くなりました。

 私は1973年、中学1年生でチャールズ・チャップリン、バスター・キートンなどサイレント・コメディ映画のファンになり、映画館通いを始めると同時に『スクリーン』『ロードショー』『キネマ旬報』等の映画雑誌をせっせと購入して映画の知識を植え付けてゆきました。月に2回発売される当時の『キネマ旬報』には、小林信彦さん、山田宏一さん、永六輔さん、原田真人さんらそうそうたる方々がご自分のコーナーを持っていました。中でも一際目立ったのが、厚紙4ページを担当していた和田誠さんの《お楽しみはこれからだ》のコーナーでした。和田さんが選んだ映画の有名な、洒落た、おかしな、気になるセリフにイラストとエッセイを添えたもの。
 今でも良く覚えているのが『野郎どもと女たち』からギャンブラー、マーロン・ブランドと救世軍の真面目女ジーン・シモンズの会話。
 「明日のランチを一緒にいかがですか?」
 「どうして私を誘うの?」
 「明日になれば貴女だって腹がへるでしょうからね?」みたいなもの。
 また、ハワード・ホークス監督の音楽映画『ヒット・パレード』の撮影中にバンド・リーダーのベニー・グッドマンとトミー・ドーシーが殴りあいの喧嘩をしたetc.
 和田さんのエッセイから得た情報は数知れず。その然り気無さが大好きでした。
 また、私や松本晋一さんが夢中になり、ミュージカル映画ファンになるきっかけとなった映画『ザッツ・エンタテインメント』(日本公開1975年3月21日)の特集号の表紙を書かれたり、ご自分のコーナーに何回も取り上げてくれました。一度だけ和田誠さんご本人を拝見したのもこの『ザッツ』の上映会での座談会コーナーでした。渋谷の西武かパルコだったと思います。
 『ザッツ』公開の年の6月にTBSテレビでジュディ・ガーランド主演の『若草の頃』が放映されたのですが、ミュージカル映画の命でもあるミュージカル・ナンバー、この時は有名な“トロリー・ソング”が見事にカットされていて、我々ミュージカル映画ファンをガッカリさせたのですが、和田さんは後日『キネマ旬報』のご自分のコーナーでその事に触れて下さいました。常に私達と同じファン目線にたっている方でした。
 和田誠さんが生涯で一番好きだった映画はミュージカル『ジョルスン物語』でした。この映画に登場する有名なセリフか《お楽しみはこれからだ!》なのですね。映画評論家の水野晴郎さんが古いハリウッド映画の名作を輸入・上映していたインターナショナル・プロモーションという会社で『ジョルスン物語』を買いつけた時に和田さん直々に日本語字幕を書いてました。映画雑誌での水野さんと和田さんの座談会がきっかけとなったのです。
 銀座のガスホールでの試写会に水野さんご本人から招待状を頂き観に行きました。1979年秋、浪人中の事でした。

 その後、和田さんが映画監督として成功されたり、平野レミさんと結婚されたりの事はよく知りません。
 私と映画が繋がるきっかけを作って下さった方のおひとり、和田誠さんのご冥福をお祈りいたします。

天野 俊哉



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