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Vol.1656 宝塚星組紅ゆずるさんサヨナラ公演
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秋晴れの週末、宝塚星組トップスター紅ゆずるさん&綺咲愛里さんのサヨナラ公演を観に日比谷の東京宝塚劇場まで行って参りました。
観劇前夜、ボーッと自宅の棚に並んでいる宝塚歌劇団のDVDを眺めていました。写真はちょうど星組の部分。左から歴代トップスターの湖月わたるさん4作品、安蘭けいさん3作品、柚希礼音さん3作品。残念ながらその後の北翔海莉さんと紅ゆずるさんの作品がまだありません。紅ゆずるさんの場合、酒井澄夫作・演出の『ブーケ・ド・タカラヅカ』はテーマ曲が素敵だったので買う予定でしたがその前にテレビで放送され録画したので取り止めになりました。さて、今回のレヴューはヅカファンの評判も高いので私のDVD購入に繋がると良いのですが。
ミュージカル・フルコース
『GOD OF STARS 食聖』
作・演出/小柳奈穂子
紅ゆずるさんには『Another World』という落語を扱った評判の作品がありますが、今回の食の世界も前評判が高いので多いに期待したいもの。演出の小柳氏は香港映画にハマっていた時期があったそうです。なるほど!筋金入りなんですね、うまく料理出来てる訳だ。紅さんのサヨナラを意識せずにひたすら笑わせ楽しませる内容が良かったです。それでもお話の終盤、紅さんが優勝の星のメダルを次期トップの礼真琴さんに「お前にこの星をやる!」みたいな楽屋落ちが入りましたが、全体のバランスを崩さずに笑わせてくれました。ラスト、星組のほぼ全員を舞台上に並べて緞帳をおろすあたりの小柳氏の優しさには脱帽。チラシに掲載されている紅さんとトップ娘役の綺咲愛里さんもゴスロリ風の衣裳がえらく似合っていたり衣裳のコテコテぶりも成功していました。
スペース・レヴュー・ファンタジア『Eclaire Brillant』
作・演出/酒井澄夫
アーチ型のゴージャスな装飾を吊るしたりお金をかけた演出には目を引きました。タイトル前にある『スペース・レヴュー・ファンタジア』のスペースがあまり良く伝わらなかったので普通にレヴュー・ファンタジアの方が素敵な気がしました。
・プロローグ(振付/御織ゆみ乃)
星からやって来た!スペースのイメージがあまり感じられない衣裳。照明が入ると既に紅さんが銀矯に板付いてるのがワクワクさせてくれますが、音楽のテンポのせいか?スター不足のせいか?グイグイ引っ張られないのは私だけの問題なのでしょうか。
・ひとり星の上で(振付/若央りさ)
プロローグでメインキャストが銀矯に並んだ後、紅さんだけが残り歌う。演出の酒井氏はこのジルベール・ベコーのシャンソンが今回のレヴューの発想に繋がったとか。紅さんは優しい笑顔で観客に歌いかける、このレヴューで一番好きな場面でした。
・パリ(振付/AYAKO)
次期トップの礼真琴さんと舞空瞳さんをフューチャーしたバレエの振付。舞空さんはどこにいても直ぐに見つける事が出来る、分かりやすい顔の輪郭のお嬢さん。これからの礼さんとのダンス・デュエットが凄く楽しみです。
・ラテン(振付/港ゆりか)
本当ならばレヴューで一番ワクワクするメドレー・ナンバーのはずがスター不足の為に弱く感じてしまいました。このまま中詰めに突入してしまうのにも驚いてしまいました。紅さんを中心に銀矯に出てきたメインキャストのパレードが暗転で終わり、カーテン前を飾るのが現在の星組の期待の若手瀬央ゆりあさん、沢山の娘役さんを引き連れて短いけど印象的な一場面を。
・スペイン(振付/若央りさ)
ここで“ボレロ”を持ってくるのは悪くなかったのですが、舞台センターに置かれた大きな階段がダンスの流れや宝塚自慢のフォーメーションを封印してしまったのが勿体なく感じました。私は盆を回した展開での“ボレロ”が見たかったです。
・ニューヨーク(振付/御織ゆみ乃)
大ナンバーの後に銀矯やカーテン前をサラッと使う上手い演出はベテランの酒井氏らしい。今回お芝居とレヴューの両方に出演している専科の華形ひかるさんがドーンと存在感をみせてくれるナンバー。ベテラン4人を従えた味のある場面。このまま華形さん達にラインダンスの娘役さん達が絡むのは面白かった!曲はフランク・シナトラの“夜のストレンジャー”でした。
・フィナーレ(振付/若央りさ・羽山紀代美)
いよいよ大階段の登場です。紅さんを中心にエキゾチックな衣裳の娘役さんが階段で踊るのが魅力的。久し振りの羽山紀代美氏振付の男役の黒燕尾ナンバーには千住明氏の楽曲“風林火山”を使用、上妻宏光氏の三味線演奏がダンスを盛り上げます。そのままトップ・コンビのデュエットに。あくまで宝塚らしいビジュアルを大切にした羽山氏の振付にはホント感動してしまいました。そしてパレード(振付/AYAKO)へ。
近年スター不足の星組をこれからどうしてゆくのか?
組の将来が全く見えてこないのは困ったものです。組に付いているプロデューサーの力不足なのでしょうか。私は宝塚歌劇団を卒業した方の舞台は基本観ない主義なので私にとっては紅ゆずるさんの見納めになります。17年間お疲れ様でした!
天野 俊哉
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