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Vol.1655 ボクシング映画番外編〜ダンス・ナンバー
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大きな書店で売られているコズミック出版の10枚組DVD BOXシリーズ。《西部劇》と《戦争映画》のシリーズはとどまる事なく続いていますが、《ミュージカル映画》はわずか2本で終了みたいです。最近の《ボクシング映画》シリーズの後、遂に《ギャング映画》それもエドワード・G・ロビンソン、ジェームズ・キャグニー、ハンフリー・ボガートの3人の主演作を集めた凄いものが発売されました。あまり売れないとは思いますが嬉しい話題です。
さて、連日ラグビー、ラグビー、ラグビーといつから人気が出たのか知りませんが大変な事になってますね。私もY'sの一員としてラグビー人気に乗っかろう!と気合いを入れてみたのですが、ラグビーを扱った映画を知らないので手も足も出ません。仕方ない、Y'sのリーダーに任せますわ。
で、今回は番外編としてボクシング映画のダンス・ナンバーにスポットを当ててみたいと思います。
ボクシングを振りに入れているダンス・ナンバーがあるボクシング映画は実在のボクサー、マックス・ベアが主演した『世界拳闘王』くらいでしたが、コズミック出版のシリーズを別にすれば僅かながらありました。
『フットライト・セレナーデ』(1941年・日本劇場未公開)
ベティ・グレイブル主演のミュージカル映画。思えばベティ・グレイブル扮するコーラス・ガールとヴィクター・マチュアのプロ・ボクサーの恋物語なので半分はボクシング映画ですね。
フレッド・アステア映画で素晴らしいダンスをたくさん創作してきたハーメス・パンが、振付だけでなくベティのパートナーとしてストイックなタップ・デュエットをしてしまうレアな作品。そのベティが沢山のコーラス・ガールを従えてボクシングのグローヴをつけて歌い踊る“I Heard The Birdies Sing”というナンバーの驚くべきは、後半白幕にベティの影が映りベティが自分の影と戦い出すのです。正にアステアの映画『有頂天時代』での名タップ・ナンバー“Bojangles of Harlem”みたいな展開になるのですが、ハーメス・パンという人も面白い人で、1930年代にアステアの為に振付したステップやダンス・スタイルを40年代になってベティ・グレイブルやリタ・ヘイワースのミュージカル作品のあちらこちらに平気で使いまわしたりしています。多分《フレッド・アステア公認》だったのでしょうね。
『これが陸軍だ』(1943年・日本劇場未公開)
ジョージ・マーフィ主演、アーヴィング・バーリン音楽のミュージカル大作。本物のアメリカ兵がブロードウェイの舞台で歌い踊った!という嘘みたいな伝説の作品。当然の事ながら黒人兵士には黒人兵士だけのミュージカル・ナンバー“What The Well Dressed Man in Harlem Will Wear”が用意されており、ゲスト出演のボクシングのヘビー級チャンピオン、ジョー・ルイスがゴジラの様に堂々と登場します。目の前に用意されたパンチングボールをリズミカルに叩くのが格好いいです。やがて、リズム感の良い黒人兵達のタップ・ダンスが始まりアクロバットを絡めたコミカルなタップがあり、最後は再びセンターにジョー・ルイスが現れ敬礼して幕となります。大変ショーアップしたミュージカル・ナンバーであります。
『いつも上天気』(1955)
ジーン・ケリーとシド・チャリース主演のMGMミュージカル映画。
ジーン・ケリーはプロ・ボクサーのマネージャー役、恋人役のシド・チャリースがボクシング・ジムに顔を出してボクサー達と歌い踊るのが“Baby You Knock Me Out”という素晴らしいミュージカル・ナンバーです。シドは音痴なのか?どの映画でも歌のほとんどを吹き替えてますが、ここでは音楽にあわせた早口だったり、叫んだり、声を張り上げるだけなので実際の声でナンバーをこなしています。ジャック・デンプシー、ジーン・ターニー、マックス・ベアら往年のチャンピオンの名前を早口で並べるシドの滑舌の良さ、キャロル・ヘニー指導によるシドのスマートな動きと、ジーン・ケリー振付による男性ボクサー達の動きに迫力があって私はこのダンス・ナンバーが大好きです。
もしコズミック出版のシリーズに『ボクシング映画』の第3弾があったら是非上の3作品を加えて頂きたいものです。
天野 俊哉
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